トランシーバー他社同士で本当に通信できるのか、トランシーバー互換性やインカム他社通信の条件が分からず、モヤっとしている人も多いかなと思います。
特定小電力機や業務用インカムを混在させた現場で、トランシーバー通信できない状況にハマってしまい、どこを触ればいいのか分からないままチャンネルだけいじって余計ややこしくなった…という相談もよく聞きます。とくに、メーカーがバラバラな機種が混在していると、「どれが基準なのか」「どの番号に合わせればいいのか」が一気に分かりにくくなりますよね。
実際には、周波数帯や通信方式、トーンスケルチの設定さえ押さえてしまえば、他社製トランシーバー同士でも問題なく交信できます。ただ、そのためにはトランシーバー周波数合わせ方やチャンネル互換とトランシーバー周波数表の見方など、ちょっとだけ仕組みを理解しておく必要があります。ここを軽くでも押さえておくと「なんで今日は全然つながらないの…?」というストレスがかなり減りますよ。
この記事では、トランシーバー他社同士を安全かつ合法的に運用するための考え方を、インカム他社通信の実例も交えながら分かりやすく整理していきます。初めての人でも、すでに現場で運用している人でも、「設定を変えるときに迷わない」レベルまで落とし込んでいきます。ここ、気になりますよね。順番に整理していきましょう。
- トランシーバー他社同士で通信できる条件と基本の考え方
- よくある「通信できない」トラブルの原因とチェック手順
- 周波数合わせ方やチャンネル互換表の具体的な使い方
- 一般利用と業務利用それぞれで安全に運用するためのポイント
トランシーバー他社同士の基本知識
まずは、トランシーバー他社同士でも通信できるための前提条件をざっくりそろえていきます。同じ周波数帯で、同じ方式、同じチャンネル、同じコードにそろえることが大前提です。この章では、特定小電力トランシーバーの互換性や、よくある「通信できない」ケースを整理しながら、現場で迷わないための基礎を固めていきます。ここを一度しっかり理解しておくと、メーカーが違う機種を増やしていっても怖くなくなりますよ。
特定小電力とトランシーバー互換性
一般ユーザーや店舗、イベント現場でいちばんよく使われているのが、いわゆる特小こと特定小電力トランシーバーです。ここから押さえておくと、トランシーバー互換性のイメージが一気にクリアになります。
特定小電力は「規格」が同じだから混用しやすい
特定小電力トランシーバーは、周波数帯・出力・チャンネル数などが制度上きっちり決められているので、メーカーが違っても中身の「土俵」は同じです。アイコム、ケンウッド、モトローラ、スタンダード、アルインコあたりの特小機なら、きちんと設定さえ合わせれば他社製同士でも普通に通話できます。
ポイントは次の4つです。これは他社製を混ぜるときの「チェック項目」として覚えておくと便利です。
- どちらも特定小電力トランシーバーであること(片方だけ業務用無線やアマチュア無線機になっていないか)
- アナログ同士か、同じ方式のデジタル同士であること(アナログとデジタルのミックスは基本NG)
- チャンネル番号の裏にある周波数(MHz)が一致していること
- トーンスケルチ(サブコード)設定がそろっていること
要するに:特定小電力同士なら「規格は同じ」なので、実務的にはチャンネルとサブコードさえ合わせれば互換性が取れると考えてOKです。
ここを勘違いしやすいのが、「同じ1chにしているのに通じない」というパターンです。じつはメーカーによって、1chに割り当てている周波数が違う場合があります。なので、「同じ数字」ではなく「同じ周波数」を合わせるイメージが大事になります。
代表的なメーカーと互換性の考え方
ざっくりですが、特定小電力トランシーバーでよく見かけるメーカー別のイメージはこんな感じです。
| メーカー | 代表的な表示例 | 互換性のポイント |
|---|---|---|
| アイコム | 1〜20chなどシンプルな連番 | 他社の「1〜20ch」と互換が取りやすい |
| ケンウッド | UBZシリーズなどの1〜20ch | アイコムとほぼ素直に対応、特に入門向けで混在させやすい |
| アルインコ | b01、L01のようにb/L付き表示 | 「b」「L」でビジネス・レジャーを分けて表示しているので互換表必須 |
| モトローラ/スタンダード | メーカー独自UIだが周波数は共通 | 必ず周波数表を見て対応するチャンネルを確認する |
表にある通り、特定小電力は「中身の周波数は共通だけど、表示の仕方だけ違う」ことが多いです。なので、最初に1台だけ「基準機」を決めて、他のメーカーをそれに合わせていく、という運用にしておくと迷いづらくなります。
古い9ch機・11ch機には要注意
昔の特小機には、交互9ch機・交互11ch機など、今よりチャンネル数が少ないモデルがあります。今主流の交互20ch機と混在させる場合、共通しているチャンネルに合わせないと通話できません。9ch機と11ch機同士のように、そもそも重なるチャンネルが無い組み合わせもあるので、手元に古い機種がある場合は取扱説明書の周波数一覧を一度確認しておくのがおすすめです。
具体的には、
- 9ch機:利用可能な周波数が9個だけ(そのうち、現在の20ch機と重なるのは一部)
- 11ch機:11個のうち、現行の20chと共通している周波数がいくつか存在
- 20ch機:古い機種の一部チャンネルを包含しているが、全てではない
という関係になっているので、「古い機種同士」だけで組み合わせるとそもそも重なるチャンネルがない可能性があります。この場合、いくら設定をいじっても通話できないので、素直に現行仕様の機種に置き換えるのが現実的です。
他社同士でトランシーバー通信できない時
トランシーバー他社同士で「同じチャンネルにしているはずなのに、全然聞こえない」という相談は本当に多いです。このケースは、落ち着いて潰していけばだいたい原因が見つかります。逆に、感覚であれこれ触ってしまうと、どこが原因だったのか分からなくなって泥沼化しがちなんですよね。
チェックすべきは「土俵」と「設定」
通信できないときは、必ず①土俵(機種・周波数帯) → ②設定(チャンネル・コード) → ③環境(距離・障害物)の順で確認していきます。
具体的にはこんな感じです。
- そもそも土俵が違う:片方が特定小電力、もう片方がデジタル簡易無線やアマチュア無線機など。物理的に周波数帯が違うので、どう設定しても通じません。
- 方式が違う:アナログ機とデジタル機を混在させている、またはデジタル方式そのもの(NXDNとDMRなど)が異なる。
- チャンネル番号の対応がズレている:メーカー別のチャンネル互換が頭に入っていない。「同じ1ch」と思っていても中身の周波数が違う。
- トーンスケルチが合っていない:どちらかだけサブコードが入っている、もしくは番号違いで設定されている。
- 単純に電波が届いていない:距離の問題や鉄筋・地下などの電波環境による減衰。
とくにありがちなのが「トーンスケルチだけが違う」パターンです。サブコードが入っている機器同士だと、自分たちだけの会話にできて便利ですが、他社機と混在させるときにうっかり統一し忘れると、ランプは光るのに音だけ聞こえないという現象が起きます。
現場でのトラブルシュートの流れ
実際の現場でよくやるトラブルシュートの流れはこんな感じです。
- 距離をいったん「数メートル」まで詰めてテストする(まずは環境要因を排除)
- 両方のトーンスケルチを完全にオフにする(送受ともにオープン状態にする)
- 基準機を一台決めて、そのチャンネル番号を記録する
- 相手機を1chずつ動かしながら、基準機から短い音声を送って反応するチャンネルを探す
- 反応があった組み合わせを「互換パターン」としてメモに残す
この手順を一度やってしまえば、「○○メーカーの1chは、うちの機種だと11chだな」といった感覚が身についてきます。次回からは互換表を見ながら、すぐに最適な組み合わせを選べるようになりますよ。
簡易チェックリスト
- 送信側で送信ランプは点灯しているか
- 相手機の受信ランプは反応しているか
- 両方のトーンスケルチをいったんオフにしてみたか
- 数メートルの近距離でテストしてもダメか
- 片方の機器だけ、そもそも他のトランシーバーとも通じない状態になっていないか
受信ランプが点くのに音が出ない場合は設定ミス、ランプも点かない場合は周波数帯や方式がそもそも違う可能性が高いです。ここまで切り分けられると、「設定の問題なのか、機種の選び方から見直すべきなのか」が判断しやすくなります。
他社同士のトランシーバー周波数合わせ方
トランシーバー周波数合わせ方の肝は、「チャンネル番号」ではなく中身の周波数そのものを見ることです。メーカーごとにチャンネルの付け方が違っても、周波数が同じならちゃんと通話できます。逆に言うと、「1ch」の表記だけを見て合わせていると、いつまでも噛み合わない可能性があります。
チャンネル番号ではなく周波数を見る
たとえば、A社の1chが422.050MHz、B社の11chも422.050MHz、というように、違う番号でも同じ周波数に対応しているケースはよくあります。このときは「A社1ch ⇔ B社11ch」が対応関係になるので、両方の機種をこの組み合わせに合わせる必要があります。
実務的には、取扱説明書の「チャンネルと周波数の対応表」を両機種分並べて見比べるのがいちばん確実です。そこに載っているMHzの数値が完全に同じ行を探し、その行でのチャンネル番号をそれぞれのトランシーバーに設定します。
ステップバイステップの合わせ方
実際に周波数を合わせるときのステップを、もう少し細かく書いておきます。
- まず、代表で使っているトランシーバー(基準機)を1台決める
- 基準機の「どのチャンネルを現場の標準にするか」を決める(例:基準機の5ch)
- 基準機の説明書で、5chが何MHzかを確認する
- もう一方の機種の説明書で、同じMHzになっているチャンネルを探す
- 両方の機種で、そのチャンネルに設定する
- トーンスケルチ(CTCSS/DCS)をいったんオフにして通話テストをする
- 必要であれば、最後に全員で同じトーン番号を設定する
このとき、現場でいったん見つけた「対応チャンネル」は必ずメモに残しておきましょう。次回レンタルしたときや、別の現場で同じ組み合わせを使うときに、そのメモがそのまま「現場用互換表」になります。
トーンスケルチも忘れずにそろえる
周波数が合っていても、CTCSSやDCSなどのトーンスケルチが違うとスピーカーが開きません。他社製を混ぜるときは、まず全台のトーン機能をオフにして通話できることを確認し、必要な場合だけ同じトーン番号に揃えるのがおすすめです。
とくにトラブルが多いのは、
- 自社所有機:トーンあり
- レンタル機:トーンなし
のように、トーン設定が混在しているパターンです。この状態だと、自社機同士は通じるけれど、レンタル機からは聞こえない(逆もあり)というややこしい状況になります。最初のセットアップ時に、全台いったんトーンオフで合わせてから、必要なグループだけトーンを付け直すようにすると、かなり混乱が減りますよ。
チャンネル互換とトランシーバー周波数表
トランシーバー周波数表やチャンネル互換表は、他社製を混在させて運用するときの強力な武器です。現場で迷子にならないよう、使い方を一度整理しておきましょう。取説の巻末にある地味な表ですが、きちんと読むとかなり頼りになります。
チャンネル互換表の基本的な見方
多くの互換表は、縦軸に「チャンネル番号」、横軸に「メーカー別の表記」、中央に「周波数(MHz)」が載っています。重要なのは、どのメーカーのどのチャンネルが、同じ周波数の行に並んでいるかです。
現場でよくやるのは、次のような手順です。
- 「基準にする機種」を1台決めて、そのチャンネル番号を現場の標準とする
- 互換表で、そのチャンネルに対応する周波数を確認する
- 他社製の欄から、同じ周波数の行にあるチャンネル番号を拾う
- その番号を各メーカーのトランシーバーに設定する
こうしておけば、増設するときも「基準チャンネル」と互換表だけ見れば同じ設定にそろえられるので、かなり楽になります。とくに、イベントごとにレンタルする機種が変わるような現場では、「互換表+現場用メモ」の2段構えにしておくと安心です。
自前の「簡易周波数表」を作っておく
取説を毎回開くのが面倒であれば、自分たち用にシンプルな表を作ってしまうのもアリです。
- 行:現場でよく使う周波数(例:1行=「現場標準1ch」)
- 列:メーカーごとのチャンネル番号(アイコム=1ch、ケンウッド=1ch、アルインコ=b01など)
こうしておけば、新人スタッフにも「今日はこの表どおりに合わせてね」と渡すだけで済むので、設定ミスが一気に減ります。A4一枚に収まるように作って、休憩室や倉庫に貼っておくのもいいですね。
業務用インカム他社通信の注意点
ここからは、店舗や施設、イベント現場などでよく使われる業務用インカム他社通信の話です。特定小電力と違って、業務用簡易無線やIP無線になると技術面だけでなく法律面の注意点が増えます。「技術的には通じるけど、免許上はダメ」というケースもあり得るので、ここは慎重に見ていきましょう。
技術的に通じても「法的にNG」のケースがある
業務用無線は、免許人(無線局の名義)ごとに通信できる相手が決まっているケースがあります。たとえ周波数や方式が同じで、技術的には他社インカムと通話できそうでも、免許条件上その通信が認められていないことがあります。
特に注意したいのは次のようなパターンです。
- 自社の免許局と、別法人名義の免許局を直接つないでしまう
- レンタルで借りたデジタル簡易無線に、自社所有の免許局を混ぜて使う
- 登録されていない人が業務用無線機を勝手に操作する
業務用無線の免許や登録は、「誰が」「どの周波数で」「どんな用途で」使うかを前提に発行されています。ですので、免許人が違う組織同士で常時通話するような運用は、免許条件と矛盾してしまう可能性があります。ここは、契約している販売店や、無線の専門業者に必ず相談しておきたいポイントです。
IP無線は「同じサービス内端末同士」が基本
携帯電話網を使うIP無線や、クラウド型インカムサービスでは、同じサービス・同じサーバーに登録された端末同士だけが通信できるのが普通です。メーカーが違う端末を混ぜる場合でも、サービス側の仕様として互換性があるかどうかを確認する必要があります。
例えば、A社のIP無線サービスとB社のIP無線サービスは、見た目が似ていても裏側のサーバーやグループ管理の仕組みが完全に別物、というケースがよくあります。この場合、端末側の設定でどうにかしようとしても限界があるので、契約しているサービス単位でグループを分けるのが基本になります。
業務用インカムの選定や免許まわりは、無線資格や法規の知識がある人と相談しながら進めるのが安全です。正確な情報は公式サイトや総務省の資料をご確認のうえ、最終的な判断は専門家にご相談ください。
トランシーバー他社同士運用と選び方
ここから先は、実際にトランシーバー他社同士を現場で運用するときの考え方や、用途別の選び方をもう少し具体的に掘り下げていきます。レンタル機との混在や、距離・環境による通信トラブル、周波数帯別の考え方など、現場で迷いやすいポイントを一つずつ整理していきます。「どの規格を選ぶか」「どれくらいの距離を想定するか」の判断軸も、一緒に固めていきましょう。
レンタル混在時のトランシーバー互換性
イベントや短期の現場では、「普段使っている自社のトランシーバー+レンタル機」という構成になることが多いです。このときにいちばん起こりやすいのが、レンタル機と自社機でチャンネル設定がバラバラになり、インカム他社通信がうまくいかないパターンです。「レンタル機だけ声が届かない」「自社機の一部だけ別グループになっていた」みたいなトラブル、よくあります。
レンタル会社に「基準チャンネル」を伝える
レンタルを依頼するときは、
- 自社で使っている機種とチャンネル体系
- 現場で使いたいチャンネル(基準チャンネル)
- トーンスケルチの有無と、その番号
あたりを具体的に伝えておくと、レンタル側であらかじめ設定をそろえて出荷してくれることが多いです。特定小電力でもデジタル簡易無線でも同じで、「混在させたい」という意図を早めに共有しておくのがコツですね。
例えば、「アイコムの特小を普段使っていて、1ch+トーンオフで運用しています。レンタル機もそれに合わせてもらえますか?」というレベルで具体的に伝えておくと、レンタル会社側は互換表を見ながら、ある程度そろえた状態で届けてくれます。ここをざっくり「トランシーバー10台貸してください」だけで済ませてしまうと、現場に届いてから設定地獄になりがちです。
返却前に「現場で使った設定」をメモしておく
イベントが終わると忘れがちですが、現場で実際に使ったチャンネル・トーン設定をメモしておくと、次回の現場で同じ構成を組むときに圧倒的に楽になります。レンタル機に貼られているラベル番号と紐付けてメモしておくと、トラブルシューティングもしやすくなりますよ。
おすすめは、
- 「現場A:基準=IC-4300 5ch・トーンオフ、レンタル機=A社製11ch」
- 「現場B:基準=UBZ-LPシリーズ 1ch・トーンNo.11」
のように、現場ごとに「基準」の条件を残しておくことです。次に同じ会場で作業するとき、過去のメモを見返すだけで、同じ設定をすぐ再現できます。
距離と環境でトランシーバー通信できない
設定は合っているのに、距離や環境のせいでトランシーバー通信できない、というケースもよくあります。これは「電波の物理的な限界」の話なので、使っている規格ごとの目安を知っておくことが大事です。「設定いじっても改善しないな」と感じたら、規格やアンテナ位置を見直すタイミングかもしれません。
特定小電力の「現実的な飛び方」
特定小電力トランシーバーの出力は10mWクラスととても小さいので、通信距離はあくまで数百メートル〜1km程度が一般的な目安です(環境によって大きく変わります)。
- 市街地・屋内:100〜200m程度
- 見通しの良い屋外:数百メートル〜1km程度
- ビル内の上下階や地下:一気に厳しくなる(1〜2フロア跨ぐだけでもかなり減衰することも)
この範囲を超えて使おうとすると、どうしても「聞こえたり聞こえなかったり」といった不安定さが出てきます。とくに、構造が複雑な建物や地下階をまたいで使う場合、「特小では足りないかもしれない」という前提に立って検討したほうが安全です。
電波環境がシビアなときの考え方
周りに無線LANアクセスポイントやBluetooth機器が多い環境では、電波が混雑してトランシーバーにも影響が出ることがあります。無線全般の振る舞いをもう少し俯瞰したい人は、Bluetoothの優先順位を理解してトラブル回避の記事も読んでみると、電波環境とトラブル発生の関係がイメージしやすくなると思います。
もし電波が厳しいなと感じたら、
- 建物の中心付近ではなく、できるだけ窓側や開けた場所で運用する
- トランシーバーを腰ではなく胸付近に付ける(人体での遮蔽を減らす)
- どうしても届かないエリアには中継器を検討する
といった工夫も有効です。簡単なことですが、これだけでも「ギリギリ届くかどうか」が変わるケースは多いですよ。
遠距離・厳しい環境で安定して使いたい場合は、デジタル簡易無線やIP無線といった上位の方式を検討するのが現実的です。どの方式が適切かは現場の条件によって変わるので、販売店や専門業者と相談しながら決めるのがおすすめです。
周波数帯別のトランシーバー周波数合わせ方
トランシーバー周波数合わせ方は、使っている周波数帯によって少し考え方が変わります。ざっくり分けると、「免許不要の特小」「業務用簡易無線」「アマチュア無線」の3つを押さえておくと整理しやすいです。それぞれの特徴をざっと比較してみましょう。
周波数帯と用途イメージ
| 区分 | 代表的な周波数帯 | 主な用途のイメージ |
|---|---|---|
| 特定小電力 | 420〜440MHz帯など | 店舗、イベント、レジャーなど近距離連絡 |
| 簡易業務用無線 | 150MHz帯、350MHz帯など | 工場、警備、イベント運営など広めの現場 |
| アマチュア無線 | 144MHz帯、430MHz帯など | 個人の趣味・実験・非常通信など(業務利用不可) |
免許不要の特小(約420〜440MHz帯)
特定小電力では、国内で使える周波数とチャンネルが規格として固定されています。メーカー間の違いは「チャンネル番号の振り方」と「UI(表示の仕方)」くらいなので、互換表や周波数表を見て同じ周波数に合わせてあげればOKです。
他社同士で周波数を合わせるときは、
- 必ず「特定小電力トランシーバー」で揃える
- アナログ・デジタルのどちらで使うかを決めて揃える
- チャンネル番号に惑わされず、周波数表を見るクセを付ける
この3つを徹底しておけば、特小の範囲ならほぼ問題なく他社混在運用ができます。
業務用簡易無線(150MHz帯・350MHz帯など)
一般業務用無線やデジタル簡易無線は、特小よりも出力が大きく、周波数チャネルも制度で決められています。トランシーバー周波数表やチャネルプランを見ながら、同じチャネル番号とグループコード(RANコードなど)を揃えることで他社製同士でも通信できます。
ただし、デジタル方式そのものが違う(NXDNとDMRなど)と互換性が無くなるので、他社混在を前提にするなら同じ方式でそろえるのが前提になります。また、業務用簡易無線は免許・登録が関わる世界なので、運用前に必ず免許条件と実際の使い方が合っているかを確認してください。
アマチュア無線(144MHz帯・430MHz帯など)
アマチュア無線の世界では、周波数とモードさえそろえればメーカーを問わず交信できるのが基本です。たとえば144MHz帯FMの145.00MHz同士に合わせれば、アイコム同士でも八重洲とケンウッドの組み合わせでも普通に通話できます。
ただし、アマチュア無線は免許と無線局免許状が必須で、業務利用は禁止されています。正確な条件や運用ルールは総務省や各種団体の公式情報を確認し、最終的な判断は無線の専門家や有資格者に相談してください。
メーカー別インカム他社通信の実例
ここでは、私がよく見かけるメーカー混在のパターンをいくつか挙げて、インカム他社通信のイメージを具体的にしてみます。他社製同士でも、うまく設計しておけばかなり快適に運用できるんですよ。
ケース1:アイコム+ケンウッドの特小混在
たとえば、アイコムのICシリーズとケンウッドのUBZシリーズを混在させる場合、
- どちらも特定小電力のアナログモード
- チャンネルは「IC側1ch ⇔ UBZ側1ch」のように対応させる
- トーンスケルチは全台オフ、もしくは同じ番号に統一
といった設定にすれば、問題なくトランシーバー他社同士で交信できます。アルインコ機が混ざる場合は、「b01」「L01」のような表示を互換表で確認しながら合わせることになります。
実際の現場では、「通常運用はICシリーズ+UBZシリーズ、バックアップとしてアルインコを数台」という構成をよく見かけます。このとき、現場でよく使うチャンネルの対応表を一枚作っておき、倉庫や休憩室に貼っておくと、誰が設定してもほぼ同じ状態を再現できます。
ケース2:デジタル簡易無線の混在(NXDN方式)
アイコムとJVCケンウッド、スタンダード(八重洲)のデジタル簡易無線機は、多くが同じ系統のデジタル方式を採用しているので、
- 同じデジタルチャネル番号
- 同じグループコード(RANコードなど)
- 秘話機能や個別呼出しはオフ
といった条件をそろえれば、メーカー違いでも普通にインカム他社通信ができます。一方、DMR方式の機種が混ざると互換性が無い場合が多いので、ここだけは注意が必要です。
デジタル簡易無線は、同じチャンネルでもグループコードやID設定次第で「誰と誰が話せるか」をかなり細かく制御できるので、運用設計の自由度が高い一方、設定が複雑になりやすい面もあります。複数メーカーを混ぜる場合は、最初に全台を集めて「共通プロファイル」を作っておくのがポイントです。
資格やキャリアとして無線を深掘りしたい場合
業務用無線を本格的に扱うなら、第一級陸上無線技術士のような資格を目指して勉強してみるのも一つの選択肢です。無線系資格の価値感やキャリアへの活かし方については、一陸技がすごいと言われる理由と価値で、より詳しく掘り下げています。現場での経験に資格が加わると、無線システム全体の設計や法規対応まで視野に入れた提案ができるようになるので、「無線担当」としての存在感もかなり上がりますよ。
トランシーバー他社同士運用と互換性まとめ
最後に、トランシーバー他社同士を安全かつ快適に運用するために、押さえておきたいポイントをまとめておきます。ここまで読んでくれたあなたなら、だいぶ全体像が見えてきていると思います。
- 同じ規格・同じ周波数帯・同じ方式の無線機同士なら、メーカーが違っても基本的には通信できる
- 特定小電力は互換性を取りやすいが、チャンネル表示の違いとトーン設定には要注意
- 業務用無線は技術的な互換性だけでなく、免許条件や法規制も必ず確認する
- レンタル混在時は「基準チャンネル」を決めて、事前にレンタル会社とすり合わせておく
- 距離や環境で厳しい場合は、上位の規格(デジタル簡易無線やIP無線)を検討する
トランシーバー他社同士の運用は、一度「周波数・チャンネル・トーン・方式」の考え方が腹落ちしてしまえば、それほど難しい話ではありません。むしろ、現場の状況に合わせて柔軟に機種を組み合わせられるようになり、通信の幅がぐっと広がります。最初は「ちょっと面倒だな」と感じるかもしれませんが、一度しっかり整理しておくと、次からは本当に楽になりますよ。
この記事の内容は、あくまで一般的な目安や代表的なケースをベースにしたものです。実際の運用条件や制度は変わる可能性があるため、正確な情報は必ずメーカー公式サイトや総務省などの公式情報をご確認ください。特に技術基準適合証明(いわゆる技適マーク)や基準認証制度の詳細については、(出典:総務省 電波利用ホームページ「無線局機器に関する基準認証制度」)が一次情報源として参考になります。また、重要な判断を行う際は、販売店や無線の専門家、有資格者に相談し、最終的な判断は専門家にご相談ください。