最近スマホの画面で5Gのマークを見かけることが増えましたが、実際にはあまり速さを実感できなかったり、通信が途切れてイライラしたりすることはありませんか。ネット上でも5GのSub6は意味ないといった声を見かけることが多く、本当に5Gが必要なのか疑問に思っている方も多いかなと思います。
この記事では、5Gが遅いや繋がらないと感じる根本的な原因から、5GのSub6やミリ波の違いといった基本的な仕組みについて分かりやすくお話しします。また、深刻な5Gのパケ止まりに関するドコモなどの対策状況や、いざという時に役立つiPhoneの5Gオフ設定など、日々のスマホ利用を快適にするための情報もお届けしますね。
- 5GのSub6とミリ波の電波的な違いとそれぞれの特徴
- スマホ画面で5Gと表示されていても速度が出ない理由
- パケ止まり現象が発生する仕組みと通信各社の改善策
- iPhoneなどのスマホ設定で5Gの不安定さを回避する方法
なぜ5GのSub6は意味ないと言われるのか
ここでは、多くのユーザーが5Gに対して不満を抱く背景にある技術的な理由や、電波の特性について深掘りしていきます。通信の仕組みを知ることで、今のスマホ環境がなぜこのようになっているのかが見えてくるはずですね。
5GのSub6が意味ないと感じる理由
5Gがサービス開始された当初、テレビのCMやニュースでは「4Gの100倍の速度」「2時間の映画が数秒でダウンロード完了」「超低遅延で遠隔手術も可能」といった、夢のようなスペックが盛んにアピールされました。
私たちユーザーもそれに大きな期待を寄せて最新の5G対応スマートフォンに機種変更したわけですが、実際に日常の生活圏内で使っている5Gの電波のほとんどは「Sub6(サブシックス)」と呼ばれる6GHz未満(主に3.7GHz帯や4.5GHz帯)の周波数帯です。
Sub6の電波特性と期待外れ感の正体
このSub6という電波は、後述するミリ波に比べれば電波が遠くまで届きやすいため、通信キャリアが街の広範囲をカバーするメインのエリア構築に採用しています。しかし、その分だけデータの通り道となる「帯域幅」が約100MHz程度と少し物足りず、サービス開始前に描かれていたような数Gbpsといった「真の超高速通信」を実現するのは物理的に難しいという特徴があります。
その結果、「スマホの画面には5Gと表示されて繋がっているのに、実際にSNSを見たり動画を読み込んだりする速度は4G(LTE)の時とほとんど変わらない」という状況が日常的に発生しています。
Sub6の現実的な立ち位置
完全に新しい超高速の世界を体験できる魔法の電波というよりは、「4Gの延長線上で少し回線に余裕を持たせたネットワーク」と捉えるのが、今の時点では正解かもしれません。私自身、最初は劇的な変化を期待していましたが、良い意味でも悪い意味でも「普通に使える」という感想に落ち着きました。
また、日本のような密集した都市部や住宅街、ビル群といった障害物が多い環境では、Sub6であっても電波が容易に減衰してしまいます。基地局からわずか数十メートル離れたり、建物の奥や地下に入ったりしただけで、あっという間に速度が落ち込み、結局4G回線に切り替わってしまうことも多々あります。
このような「電波の入りづらさ」と「体感速度の変わらなさ」のダブルパンチが、多くのユーザーに「5GのSub6なんて意味ないのでは?」という強いがっかり感を与えてしまう最大の要因かなと思います。
5GのSub6とミリ波の違いとは何か
5Gに関するニュースやスマートフォンのスペック表を見ていると、「ミリ波対応」という言葉をよく耳にしますよね。実は5Gの電波には、大きく分けて「Sub6(サブシックス)」と「ミリ波(ミリは)」の2種類が存在しており、それぞれが全く異なる役割と物理的な特性を持っています。ここを理解すると、なぜ自分のスマホが速くならないのかがスッキリと腹落ちするはずです。
圧倒的なポテンシャルを持つ「ミリ波」の光と影
ミリ波は、28GHz帯などの非常に高い周波数帯を使用する電波です。1つの波の長さがミリ単位であることからその名が付けられており、Sub6の約4倍にもなる400MHzという圧倒的な帯域幅(道路の広さ)を確保できます。これこそが、数Gbpsという桁違いのダウンロード・アップロードスピードを叩き出す「真の5G」そのものです。
しかし、このミリ波には致命的な弱点があります。それは、光のように直進する性質が極めて強いため、障害物に極端に弱いということです。建物の壁や窓ガラスはもちろん、街路樹の葉っぱ、降っている雨粒、さらには「スマホを握っている自分の手」や「通行人の人体」によってさえ電波が遮断され、通信が途切れてしまうほどの脆弱性を持っています。
| 電波の種類 | 主な特徴と理論上の速度 | 障害物への強さ(回折性) | 活躍する主な場所と用途 |
|---|---|---|---|
| Sub6 (3.7GHz/4.5GHz) | 中程度の帯域幅。数百Mbps〜1Gbps程度のそこそこの高速通信が可能。 | 比較的強い(4Gに近いがやや劣る)。建物の奥などには入りにくい。 | 街中、住宅街、広範囲のエリアカバー、一般的なスマホ通信。 |
| ミリ波 (28GHz帯) | 圧倒的な帯域幅。数Gbps〜の超高速・大容量通信が可能。 | 極めて弱い。目視できる範囲でないと安定せず、遮蔽物ですぐ途切れる。 | スタジアム、主要駅のホーム、イベント会場など局所的なスポット。 |
日本における普及の実態と端末側の壁

こうした極端な特性から、ミリ波の基地局を全国津々浦々に設置するのはコスト的にも技術的にも非常に困難です。日本の5Gインフラ整備の動向については国も目標を掲げており、全国の5G人口カバー率自体は98%を超え着実にエリアは広がっています(出典:総務省『5Gの整備状況(令和6年度末)の公表』)。
しかし、このカバー率の多くはSub6や後述する4G転用によるものであり、真の力を発揮するミリ波をキャッチできる場所は、現状では一部のスタジアムやドーム、大都市の主要駅ホームなどに限定されています。
さらに、私たちが使っているスマートフォン本体の問題もあります。たとえば、日本国内で販売されているiPhoneシリーズは、最新機種であっても実は「ミリ波」を受信するための専用アンテナが搭載されておらず、Sub6のみの対応となっています(アメリカ版はミリ波対応だったりします)。
つまり、大半のユーザーはそもそもミリ波を受信できない端末を使っており、私たちが日常的に触れている5Gの正体は、ほぼ100%がSub6であるというのが日本の通信環境のリアルなのです。
既存の4Gと5Gの違いによる速度の壁
純粋なSub6の帯域不足に加えて、さらに事態をややこしくし、ユーザーの「5Gに対する不信感」を増幅させている原因があります。それが「4G転用5G(業界用語でNR化)」と呼ばれる仕組みの存在です。通信キャリアが発表する「5Gエリア拡大マップ」を見ると、街の広範囲が鮮やかなピンクや赤の5Gエリアに染まって見えますが、その色分けされたエリアの中には、この「なんちゃって5G」が大量に含まれています。
4G転用5G(NR化)というマーケティングの罠

4G転用5Gとは、今まで4G(LTE)として使っていた電波の周波数(700MHz、1.7GHz、3.4GHz帯など)の設備を、ソフトウェアのアップデートなどの改修によって、無理やり5Gの信号として発射して運用する技術のことです。
通信キャリアからすれば、新たに専用の基地局をゼロから建てるよりもはるかに迅速かつ安価に「5G対応エリア」を広げることができ、他社とのエリアカバー率競争で優位に立つための極めて有効な戦略でした。しかし、この方式にはユーザーにとって大きな落とし穴があります。
使用する電波の道路の広さ(帯域幅)自体は4G時代の15MHz〜20MHz程度のままであるため、スマートフォンの画面右上には燦然と「5G」のアイコンが輝いていても、実際の通信速度(スループット)は4Gと全く同じか、最悪の場合は制御処理の無駄が増えて4Gよりも遅くなることすらあるのです。
NR化に関しては、5G NR化は意味ない?遅い原因やオフにすべきかを徹底検証でも解説していますので、ぜひ見てみてくださいね。
画面表示の罠とユーザーの混乱
現在の一般的なスマートフォンの仕様上、画面のアンテナアイコンを見ただけでは「純粋な5G用の周波数(Sub6)」に繋がっているのか、「速度の出ない4G転用5G」に繋がっているのかを見分けることは不可能です。ユーザーが「せっかく5Gエリアに入ったのに、写真のアップロードが全然進まない!」と不満を抱くケースの多くは、この転用エリアで起きている現象ですね。看板は5Gでも、中身のエンジンは4Gのままという実態が、速度の壁を作り出しています。
期待外れな5Gが遅い理由と実態の乖離
5Gが期待外れで遅いと感じる理由は、Sub6や転用周波数といった「電波の種類」の問題だけにとどまりません。実は現在稼働している5Gネットワークの基盤そのものが、まだ「未完成の過渡期のシステム」であることも大きな要因です。
現在の日本の5Gネットワークの大部分は、「NSA(ノンスタンドアロン)」という方式で構築されています。これは直訳すると「自立していない」という意味になります。
NSA方式の複雑な連携が引き起こす渋滞

NSA方式とは、既存の4G(LTE)のコア設備を間借りするような形で5Gを運用する仕組みです。具体的には、スマートフォンの認証や「どの基地局に繋ぐか」という通信のコントロール部分(制御信号)は信頼と実績のある4G基地局に任せ、重い動画や画像の実際のデータ転送のみを5G基地局で行うという役割分担をしています。
一見すると効率的で賢い方法に思えますが、実はスマートフォン側からすると、常に4Gの電波と5Gの電波の「両方を同時に探し、同時に繋ぎ続けなければならない(デュアルコネクティビティ)」という、非常に負担の大きい状態を強いられます。
この複雑な連携が裏目に出るのが、駅や繁華街などの人が多く集まる場所や、4Gと5Gの電波が入り乱れるエリアの境界線付近です。スマホが「今は4Gで制御すべきか?データは5Gで送れるか?」と迷ってしまい、基地局の切り替え(ハンドオーバー)に失敗すると、通信経路がうまく確立されずにデータがパケット単位で詰まってしまいます。これが、アンテナがMAXで立っているのに通信がピタッと止まってしまう深刻なエラーを引き起こすメカニズムです。
カタログスペックと日常利用のギャップ

通信キャリアがサービス開始時に大々的に宣伝した「理想の5G」は、誰もいない実験施設で、最も条件の良いミリ波のアンテナの目の前で計測された最高速度です。
一方で、私たちが日々体験する「現実の5G」は、障害物だらけの街中で、4Gの設備に間借りしながら、狭いSub6や転用帯域を多くのユーザーと分け合って使っている状態です。この「カタログスペックと実利用環境の絶望的な乖離」がある限り、ユーザーが期待外れというレッテルを貼りたくなるのは、ある意味で非常に理にかなった自然な反応だと言えますね。
5Gが繋がらない場合の対策と原因解明
外出先でスマホを触っていて、突然5Gが繋がらなくなったり、ブラウザの読み込みバーが途中でピタッと止まったまま動かなくなったりした経験は誰にでもあると思います。大事な連絡をしたい時や、電子決済のQRコードを出したいレジ前でこれが起きると本当にイライラしますよね。
このような不具合に遭遇した際、通信網のせいだと諦める前に、端末側でできるいくつかの効果的なトラブルシューティングや原因の切り分け方法を知っておくと非常に役立ちます。
今すぐ試せる手っ取り早い復旧テクニック
通信がフリーズしたと感じた時、一番手っ取り早くて効果的な対策は、スマートフォンの「機内モードを一度オンにして、数秒待ってから再びオフにする」という操作です。
コントロールセンターや設定画面から飛行機のマークをタップするだけの簡単な操作ですが、これには絶大な効果があります。機内モードをオンにすることで、スマホは掴んでいたすべての電波を一度強制的に手放します。そしてオフにした瞬間、その場所、そのタイミングで最も電波強度が強くて安定している基地局(多くの場合、不安定な5Gではなく強力な4G)を再検索して掴み直してくれるため、詰まっていた通信経路がリフレッシュされてスムーズにデータが流れ始めることが多いのです。
それでも改善しない場合は、端末の再起動を試したり、SIMカードを一度抜き差しして接触不良を解消したりすることも有効です。また、古いOSバージョンやキャリア設定プロファイルのままだと、基地局との通信制御にバグを抱えていることもあるため、Wi-Fi環境で定期的にソフトウェアアップデートを行うことも重要ですね。
※免責事項および注意点
通信品質や電波の状況は、ご利用のエリア、時間帯、建物の構造、さらには天候によっても大きく変動します。特定の場所で恒常的に電波が入らない場合は、各通信キャリアが提供している対応エリアマップをご確認いただくか、キャリアのサポート窓口や通信障害の最新情報(公式サイト)をご確認ください。最終的なご判断や各種設定の変更は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
多くの場合、繋がらない原因は「あなたのスマホが壊れている」わけではなく、「ネットワーク側での基地局のバトンタッチ(ハンドオーバー)が一時的にもたついているだけ」です。なので、イライラしてスマホを叩いたりせず、優しくリセットをかけてあげるのが賢い付き合い方かなと思います。
5GのSub6が意味ない状況からの脱却策
5Gの現状に不満があるとしても、悲観することはありません。私たちユーザーがすぐに取れる自衛のための対策設定や、通信業界が総力を挙げて取り組んでいる今後のネットワーク進化によって、状況は劇的に改善されていく見通しです。ここでは、具体的な回避術と未来の5Gの姿について詳しくお話ししますね。
5Gのパケ止まりへのドコモの対策状況
スマホの画面上部のアンテナピクトは「5G」でしっかり立っているのに、Webサイトを開こうとしたり動画を再生しようとしたりすると通信がピタッと止まってしまう、いわゆる「パケ止まり」現象。2023年から2024年にかけて、特に都市部やターミナル駅周辺でこの問題が極めて顕著になり、SNSなどでも大きな批判の的となりました。
この事態を深刻に受け止めた業界最大手のNTTドコモは、通信品質の抜本的な改善を経営の最重要課題に据え、異例とも言える規模で大々的な対策ネットワーク工事に乗り出しています。
徹底したチューニングと「HPUE」の導入

ドコモがパケ止まり解消に向けて行っている施策は、単に基地局の数を力技で増やすだけではありません。AIを活用して電波の干渉状況を分析し、アンテナの角度や電波の出力をミリ単位で調整する「エリアチューニング」を全国規模で実施しています。
さらに注目すべきは、「HPUE(High Power User Equipment)」という技術の順次導入です。これまでは基地局からスマホへ向かう電波(下り)は強くても、スマホから基地局へ送り返す電波(上り)が弱すぎて通信が成立しないケースが多発していました。HPUEは、文字通り端末側の送信電力をアップさせることで、「私はここにいるよ!」と基地局に対して強くアピールできるようにする技術です。
これにより、建物の中やエリアの境界付近での体感的な通信品質、特にアップロードの速度や安定性が大幅に向上すると期待されています。
イベント対策と生活動線の徹底強化
また、ドコモは毎日の通勤・通学で多くの人が利用する山手線などの主要鉄道路線周辺や、地下鉄の駅構内における設備容量を前年比で1.2倍〜1.3倍に増強するロードマップを推進しています。
さらに、夏の花火大会やコミックマーケットといった、一箇所に数十万人が密集してトラフィックがパンクするような大規模イベントに対しても、移動基地局車の配備や臨時Wi-Fiの設置など、徹底した事前対策(イベント対策)を強化しています。
これらの集中投資により、今後は、あの忌まわしい「パケ止まり」のイライラは徐々に過去の笑い話になっていくと私は見ています。
iPhoneの5Gオフでバッテリーを節約
現状の不安定な5Gネットワークを無理に使おうとすると、実は通信速度の不満以外にも、スマートフォン本体の寿命に関わる大きなデメリットが発生します。それが「バッテリーの異常な消費と、本体の深刻な発熱問題」です。
5G(特にNSA方式やミリ波)は、一度に大量のデータを高速で処理するため、スマホ内部のモデムチップ(通信を司る部品)に多大な計算負荷をかけます。さらに、5Gの電波が弱い境界エリアにいると、スマホは「もっと強い5Gの電波はないか?」と常に周囲の基地局をフルパワーでスキャンし続けるため、何もしなくてもポケットの中で電池がゴリゴリと減っていくのです。
熱によるサーマルスロットリングの恐怖
電力を大量に消費するということは、同時に大量の「熱」を発生させることを意味します。夏場の屋外での使用時や、高画質な動画を長時間視聴している際にスマホが熱々になった経験はありませんか?端末の温度が一定の危険域に達すると、iPhoneなどのスマートフォンは自身を保護するために「サーマルスロットリング」という安全装置を強制的に発動させます。
これによってCPUの処理速度が意図的に落とされ、画面がカクついたり、極端に動作が遅くなったりしてしまいます。こうなってしまっては本末転倒ですよね。そこでおすすめなのが、iPhoneの通信設定を見直すことです。
効果絶大!iPhoneの通信設定手順

- ホーム画面の「設定」アプリを開き、「モバイル通信」をタップします。
- 「モバイルデータ通信のオプション」を選択し、さらに「音声通話とデータ」へ進みます。
- ここで「5Gオート」に設定すると、通信速度が必要なダウンロード時のみ5Gを使い、普段は自動でLTEに切り替えてバッテリーを保護する賢い運用(スマートデータモード)をしてくれます。
- もし、生活圏の5Gが全く使い物にならない場合は、きっぱりと「4G」にチェックを入れて固定してしまうのが最も確実な節約術です。
※Androidスマートフォンの場合も、「設定」>「ネットワークとインターネット」>「モバイルネットワーク」>「優先ネットワークのタイプ」から「4G/3G/GSM」等を選択することで同様に5Gをオフにできます。なお、OSのバージョンや機種によって設定項目の名称が異なる場合があります。
5Gが意味ないスマホ設定の賢い回避術
前述のiPhone設定にも通じる話ですが、現状の日本の5Gエリアがまだ完璧な面ではなく、斑(まだら)模様であることを冷静に考えると、「自分の生活圏や通勤経路が完璧な5Gエリアで覆い尽くされるまでは、あえて4G(LTE)固定で使い続ける」という選択肢が、実は最も合理的でストレスフリーな「最強のライフハック」だったりします。
4G(LTE)の完成度を再評価する
「4Gに固定したら遅くて使い物にならないのでは?」と心配する方もいるかもしれませんが、全くそんなことはありません。日本の4G(LTE)技術は長年の設備投資によってすでに極限まで成熟しきっており、プラチナバンドと呼ばれる電波が地下から山間部までしっかりと張り巡らされています。
通常、YouTubeで1080pの高画質動画をカクつくことなくスムーズに再生するために必要な通信速度は、たかだか5Mbps〜10Mbps程度と言われています。現在の4G回線は、混雑時でも数十Mbpsの速度が安定して出るポテンシャルを持っているため、SNSで写真をスクロールしたり、音楽のストリーミング再生をしたりする程度の日常使いであれば、4Gの速度で困るシーンは皆無に等しいのです。
適材適所の賢い使い分けの提案
普段はバッテリーの減りを防ぎ、パケ止まりのイライラを回避するために「安定重視の4G固定」にしておきましょう。そして、外出先でパソコンをテザリングして数十GBの巨大な仕事用ファイルを送受信しなければならない時や、旅行前にNetflixで高画質映画を何本もまとめてダウンロードしたい時など、「今すぐ明確な高速通信パワーが必要だ!」という特定のシーンに限って、設定から手動で5Gをオンにするというメリハリのある運用がおすすめです。
通信キャリアの「5Gにしないと時代遅れ」といったマーケティングに踊らされることなく、自分の用途と環境に合わせて主導権を持って電波を選ぶことこそが、賢いスマホユーザーの第一歩かなと思います。
真の5GであるSA方式はいつから普及か
さて、ここまで現状の5G(主にNSA方式)に対する厳しい見方や対策をお伝えしてきましたが、通信業界も決して手をこまねいているわけではありません。
現在の「4Gの設備におんぶにだっこ」な過渡期のNSA方式から完全に脱却し、スマートフォンからコアネットワーク(5GC)と呼ばれる中枢設備に至るまで、すべてのシステムを5G専用の最新設備で構築し直す「5G SA(スタンドアロン)」方式への移行が、各キャリアで猛スピードで進められています。
SA方式がもたらすネットワークの革命
このSA方式が全国に普及すれば、これまでパケ止まりの最大の原因となっていた「4Gと5Gの間の複雑な切り替え制御」が不要になります。すべてが5Gの中で完結するため、ハンドオーバーの失敗が劇的に減少し、途切れない安定した通信環境がようやく実現します。
また、SA方式になって初めて、5Gの真の強みである「超低遅延(応答速度の速さ)」が本領を発揮します。これにより、一瞬のラグが勝敗を分けるオンラインの対戦型格闘ゲームやFPSゲームが、出先のスマホ回線でも自宅の光回線並みに快適にプレイできるようになるのです。
さらに「ネットワークスライシング」という革新的な技術も導入されます。これは1つの物理的な通信網を、用途に合わせて仮想的に「スライス(分割)」する技術です。例えば「絶対に通信が途切れてはいけない自動運転車用の優先レーン」「大容量データが必要なメタバース・動画用のレーン」「一般のスマホ用のレーン」といった具合に交通整理を行うことで、大混雑したフェス会場などでも、必要な通信が確実に保護されるようになります。
各キャリアの普及ロードマップ
携帯電話回線大手のau(KDDI)は、この「真の5G」を広げるため、「2026年の春までに、日本の人口の9割以上の人が使えるようにする」という大きな目標を掲げていました。そして2026年4月現在、その目標を見事にクリアし、すでに96%の人々が利用できる規模にまでエリアを拡大させています。
auだけでなく、ソフトバンクも地方の主要な都市へとエリアを広げ、ドコモや楽天モバイルもより電波が安定してつながるように設備の強化を着実に進めてきました。
私たちがスマートフォンの難しい設定などを気にすることなく、超高速で遅延のない「真の5G」の快適さを当たり前のように楽しめる時代。それはもう遠い未来の夢ではなく、まさにこの2026年を転換点として、すでに私たちの日常へとやってきています。
まとめ:5GのSub6は意味ないのか
最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事の結論として、現時点における「5GのSub6は意味ない」という厳しい評価やネット上の言説は、決してユーザーの勘違いではなく、インフラ構築の過渡期における技術的な不整合(NSA構成の限界や4G転用の弊害)や、サービス開始前のマーケティングが作り出した期待値が高すぎたことによる、「極めて正当な一時的評価」だと私は考えています。

歴史は繰り返す、過渡期を賢く乗り切る術
通信の歴史を振り返れば、ガラケー時代の3Gからスマホ黎明期の4G(LTE)へ移行した時期にも、全く同じような不満が渦巻いていました。「LTEはエリアが狭すぎてすぐ3Gに落ちる」「電波を探してバッテリーが一日持たない」「だからLTEはオフにして3G固定で使うのが正解」と、当時のガジェット好きたちは口を揃えて言っていたものです。しかし、インフラの整備が進みエリアが面として完成した現在、あえて「4Gは意味ない」と言う人は誰もいません。
5GのSub6も、全く同じ道を歩んでいます。今はまだ4Gベースの古い設備に依存しているため不具合が目立ちますが、基地局の圧倒的な高密度化が進み、SA(スタンドアロン)方式が主流のネットワークへと切り替われば、Sub6は間違いなく現代社会の屋台骨となり、私たちが意識することすらなく、空気のように快適で不可欠なインフラとして完成するはずです。
その真の5G時代が到来するまでの間は、無理に不安定な電波を掴み続けるのではなく、iPhoneの「5Gオート」や「4G固定設定」などの機能を賢く活用しつつ、通信キャリアのエリア改善努力を温かい目で見守りながら待つのが、最もストレスのないベストな向き合い方ですね。今後もWireless Tech Noteでは、皆さんのスマホライフが少しでも快適になるような最新情報をお届けしていきます。