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ネットワークアナライザの価格|業務用VNAとNanoVNAを比較

数万円のNanoVNAと数百万円の業務用VNAの価格差を解説するスライド

ネットワークアナライザの価格を調べて、「こんなに高いの?」と驚いた人も多いのではないでしょうか。

私も無線回路設計の仕事でネットワークアナライザを使いますが、Keysightなどの業務用VNAは、気軽に個人購入できる測定器ではありません。構成にもよるものの、私の感覚では安価な構成でも300万円前後、高性能な構成なら1000万円近くになることもある測定器です。

一方、アンテナ調整などで人気のNanoVNAなら、数万円クラスから導入できます。価格だけを見ると、とんでもない差ですよね。

ただし、「安いNanoVNAで全部代用できるのか」というと、そうではありません。測定できる周波数、ダイナミックレンジ、測定確度、再現性、校正、保守まで考えると、業務用VNAが高価な理由も見えてきます。

安価なNanoVNAでは高価な業務用VNAを完全には代用できないことを示すスライド

この記事では、第一級陸上無線技術士として無線回路設計に携わってきた私が、ネットワークアナライザの価格帯と、業務用VNA・NanoVNAのどちらを選ぶべきかを分かりやすく解説します。

  • ネットワークアナライザの価格相場
  • 業務用VNAとNanoVNAの違い
  • 価格差が大きくなる理由
  • 購入とレンタルの判断方法

ネットワークアナライザの価格相場

ネットワークアナライザといっても、数万円で購入できる小型機から、数百万円以上する業務用測定器まであります。まずは価格帯を大きく分けて考えてみましょう。

種類 価格の目安 主な用途 向いている人
NanoVNA系 数万円前後から アンテナ調整、ケーブル確認、RF実験 個人、アマチュア無線、電子工作
業務用VNA 数百万円以上 製品開発、評価、品質確認 メーカー、研究機関、評価部門
高性能業務用VNA 1000万円近くになる場合もある 高周波、高確度、多機能測定 RF・マイクロ波開発
レンタル 数十万円/月程度から 短期評価、一時的な開発 設備投資を抑えたい企業

NanoVNAは数万円、業務用VNAは数百万円、レンタルは数十万円からという価格帯の比較

金額は周波数範囲、ポート数、オプション、校正機器、保守契約などによって大きく変わります。そのため、上の金額はあくまで一般的な目安として考えてください。

業務用VNAは数百万円が目安

業務で使用するベクトル・ネットワークアナライザ、いわゆるVNAは非常に高価です。

私が実務で触れてきた感覚では、比較的シンプルな業務用ネットワークアナライザでも300万円ほどになることがあります。周波数範囲を広げたり、高性能な機種やオプションを追加したりすると、1000万円近い価格になるケースも珍しくありません。

しかも、本体を買えば終わりではありません。

校正キット、RFケーブル、変換コネクタ、フィクスチャ、保守、定期校正まで含めると、測定環境全体ではさらに費用が必要になります。

Keysight E5063A ENAネットワークアナライザの正面。液晶画面とPort 1・Port 2の測定端子を搭載

Keysight E5063A ENAネットワークアナライザ。私が業務で使用しているVNAの一例です。

写真のKeysight E5063Aは、構成によって最大18GHzまで対応する2ポートVNAです。メーカー公称では117dBのダイナミックレンジを持ち、アンテナ、フィルタ、ケーブル、コネクタなどのSパラメータ測定に使えます。

なお、業務用測定器はオプション構成によって価格が大きく変わるため、メーカーサイトでも「見積もり」となっている機種が多いです。正確な購入価格はKeysight公式サイトや販売代理店へ確認してください。

◆ワンポイントアドバイス

測定器は「最高周波数が高いほど良い」と考えがちですが、必要以上に高い周波数まで対応させると価格も上がります。例えば数百MHzまでしか使わない回路なら、18GHz対応機が本当に必要なのかを最初に考えた方がいいですよ。

NanoVNAは数万円から狙える

業務用VNAとは対照的に、個人でも購入しやすいのがNanoVNAです。

NanoVNAという名前で販売されている機種は非常に多く、価格も性能もかなり幅があります。それでも、一般的なNanoVNAなら数万円程度からネットワーク解析を始められるため、業務用機との価格差はかなり大きいと言えるでしょう。

例えばNanoRFEが販売するNanoVNA V2 Plus4は、2026年9月時点の公式価格が299ドルです。50kHz~4GHzに対応し、SOLT校正キットとRFケーブルも付属しています。

為替、送料、国内販売店、セット内容によって日本での購入価格は変わるため、単純にドル価格を円換算して比較しない方がよいでしょう。

また、「NanoVNA」という名称だけを見て買うのもおすすめしません。機種によって測定周波数や内部構成が異なり、コピー品や品質差の大きい製品もあります。

具体的なモデルの違いについては、NanoVNAの種類と選び方を解説した記事で詳しくまとめています。

NanoVNAの価格を見るときは、本体価格だけでなく「測りたい周波数まで対応しているか」を必ず確認してください。

中古やレンタルも選択肢

「NanoVNAでは足りない。でも数百万円の測定器を買うほどではない」という場合、かなり現実的なのがレンタルです。

私は業務で横河レンタ・リースさんにお世話になることがあります。高価な測定器を短期間だけ使いたいときには便利な選択肢です。

2026年9月時点では、横河レンタ・リースにKeysight E5063Aの100kHz~3GHz構成が掲載されており、基本料金は月額54万5000円、税別となっています。

1週間利用の場合は基本料金の30%という料金体系も案内されているため、この構成なら単純計算で16万3500円が基本料金の目安です。ただし、実際には消費税、運送費、契約条件などが加わります。

最新料金は横河レンタ・リースのネットワークアナライザレンタルページで確認してください。

価格差が大きい理由

数万円のNanoVNAと数百万円の業務用VNAを見ると、「同じネットワークアナライザなのに、なぜここまで違うの?」と思いますよね。価格差にはちゃんと理由があります。

測定できる範囲が違う

分かりやすい違いの一つが周波数範囲です。

NanoVNAでもGHz帯まで測れるモデルがありますが、業務用VNAでは数GHz、十数GHz、さらに数十GHzまで対応する機種があります。

ただし、ここで大切なのは最高周波数だけではありません。

例えば144MHzや430MHzのアマチュア無線アンテナを調整したいのであれば、18GHz対応VNAは必要ありません。一方、5GHz帯の無線回路やマイクロ波部品を評価するなら、数百MHzまでの機種では役不足です。

「一番高い周波数まで測れる機種」を買うのではなく、「自分が測定する周波数を余裕を持ってカバーできる機種」を選ぶのが基本です。

ダイナミックレンジが違う

VNA選びで重要なのがダイナミックレンジです。

簡単に言うと、大きな信号と非常に小さな信号をどこまで同時に扱えるかを示す指標の一つです。

例えばアンテナのS11を見たり、ケーブルの大まかな損失を確認したりする用途では、NanoVNAでも十分役立つ場面があります。

ところが、減衰量の大きなフィルタの阻止域を測るとなると話が変わります。信号が非常に小さくなるため、ノイズや内部漏れとの区別が難しくなるからです。

業務用VNAは高い周波数や微小な信号まで測定でき、測定範囲とダイナミックレンジに差があることを示す図

Keysight E5063Aでは条件によって117dBのダイナミックレンジが仕様として示されています。一方、NanoRFEのV2 Plus4は最大90dBと案内されています。

数字だけを見るとNanoVNAもかなり健闘していますが、測定条件や周波数によって性能は変わります。単純に最大値だけを並べて「何dB違うから何倍高性能」と判断するものではありません。

確度と再現性に差がある

私が業務用VNAとNanoVNAを分けて考えるときに一番重要だと思っているのが、測定結果をどこまで信用する必要があるかです。

趣味でアンテナを調整するなら、「共振点がこのあたり」「SWRが十分下がった」「ケーブルに大きな異常はなさそう」と分かれば目的を達成できることが多いでしょう。

一方、製品開発ではそうはいきません。

試作品AとBの差が1dBしかない場合、その差が製品の違いなのか、測定器の誤差なのか、ケーブルをつなぎ直した影響なのかを考える必要があります。

さらに、今日測った結果と来週測った結果、別の担当者が測った結果、別拠点で測った結果を比較することもあります。

NanoVNAと業務用VNAの測定結果のばらつきと再現性の違いを的で表した比較図

業務用測定器では、このような場面を想定して仕様、校正、安定性、再現性、サポート体制まで用意されています。ここに大きなお金を払っている、と考えると分かりやすいかなと思います。

校正環境にも費用がかかる

ネットワークアナライザは、本体だけ高性能でも正しい測定ができるとは限りません。

VNAでは測定する基準面までのケーブル、コネクタ、内部回路などが持つ誤差を補正するために校正を行います。

代表的なのがSOLT校正です。

Short、Open、Load、Throughといった既知の標準器を接続し、測定系が持つ誤差を補正します。

NanoVNAでも校正はできますし、アンテナ調整なら十分実用的です。しかし、高い測定確度を必要とする業務では、校正キット自体の特性やトレーサビリティまで問題になります。

業務用では電子校正器のECalを使うこともあり、作業時間の短縮や作業者による差を減らすことができます。もちろん、こうした周辺機器にも費用が必要です。

RFケーブルも測定結果に効く

意外と軽視されやすいのがRFケーブルです。

ネットワークアナライザなどのRF測定に使用するSMAコネクタ付き同軸ケーブル

ネットワークアナライザなどのRF測定で使用するSMAコネクタ付き同軸ケーブル。

ケーブルを曲げたり動かしたりすると、位相や損失がわずかに変化します。高い周波数になるほど、この影響を無視しにくくなります。

また、SMAコネクタを何度も脱着すると、締め付け方や接触状態による差も出ます。

つまり、数百万円のVNAを使っていても、測定ケーブルを雑に扱えば良い結果は得られません。

◆ワンポイントアドバイス

VNAで測定するときは、校正後にケーブルを大きく動かさないことを意識しています。特に位相まで見る測定では、ケーブルを動かしただけで結果が変わることがあります。測定器本体だけでなく、測定系全体を見ることが大切です。

保守とサポートも価格に含まれる

会社で使う測定器では、「壊れたら買い直せばいい」というわけにはいきません。

測定器が止まれば、製品評価や開発スケジュールそのものが止まる可能性があります。

業務用測定器にはメーカーによる校正、修理、技術サポート、ソフトウェア更新などが用意されています。

そのため、本体価格だけを見ると高く感じますが、企業が長期間使用する設備として必要なサービスまで含めて考える必要があります。

業務用VNAは本体だけでなく校正器、RFケーブル、保守やサポートを含む測定環境全体で構成されることを示す図

業務用VNAとNanoVNAを比較

では、業務用VNAとNanoVNAを実際にどう使い分ければよいのでしょうか。価格だけでなく、測定目的から比較してみます。

比較項目 NanoVNA 業務用VNA
価格 数万円程度から 数百万円以上
アンテナ調整 非常に使いやすい もちろん可能
S11・S21測定 可能 可能
周波数範囲 機種による 構成によって非常に広い
ダイナミックレンジ 用途によって十分 広い
確度・再現性 簡易評価向き 業務評価向き
校正環境 SOLTなど SOLT、ECalなど
保守・校正サービス 製品による 充実
自動測定 PC連携可能な機種あり 生産・評価の自動化に対応しやすい
おすすめ用途 趣味、アンテナ、学習 製品開発、品質評価、研究

アンテナ調整や学習はNanoVNA、製品開発や品質保証は業務用VNA、一時的な高度測定はレンタルが適することを示す比較表

NanoVNAが向いている用途

NanoVNAは、とにかく費用対効果が高い測定器です。特におすすめしたいのは、アマチュア無線アンテナの調整です。

S11、リターンロス、SWR、インピーダンス、スミスチャートなどを確認できるため、「アンテナがどの周波数で共振しているのか」「50Ω付近になっているのか」を実際に見ながら調整できます。

ほかにも、同軸ケーブルの確認、フィルタの大まかな通過特性、簡単なRF回路の評価など、かなり遊べます。

無線技術を勉強している人にとっては、教科書に出てくるS11やスミスチャートを実物で確認できるのも大きなメリットでしょう。

アマチュア無線のアンテナ調整、電子工作、RFの学習が目的なら、私はまずNanoVNAから始めるのがおすすめです。

業務用VNAが向いている用途

製品開発、設計検証、出荷判定などに測定結果を使うのであれば、業務用VNAが基本になります。

例えばフィルタの挿入損失や阻止量、RF回路のマッチング、アンテナ性能、ケーブル損失などを定量的に比較する場面です。

特に「この数字を社内資料や顧客提出資料に使う」「製品仕様を満たしているか判定する」という用途では、測定結果の根拠が重要になります。

そこで必要になるのが、仕様として保証された性能、定期校正、再現性、測定不確かさを考えられる環境です。

業務用VNAに数百万円を払う理由は、画面が大きいからでもブランド料だけでもなく、「その測定結果を仕事で使える状態にするため」と考えると分かりやすいです。

測定結果は同じになるのか

「同じアンテナを測ったら、NanoVNAと業務用VNAで同じ結果になるの?」という疑問もありますよね。

きちんと校正し、NanoVNAの性能範囲内で測定しているなら、似た傾向が得られるケースは十分あります。

アンテナの共振周波数を見る程度なら、NanoVNAで実用上困らない場面も多いでしょう。

ただし、測定値の細かな差まで一致するとは限りません。

ダイナミックレンジ、ノイズ、校正標準、ケーブル、コネクタ、温度、測定ポイント数、IF帯域幅など、多くの条件が結果に影響します。

なので、「業務用VNAと同じようなグラフが出た=同じ測定性能」と考えない方が安全です。

VNAでは何を測定するのか

価格を比較する前に、ネットワークアナライザがそもそも何を測る機械なのかも押さえておきましょう。

S11で反射を確認する

アンテナ測定でよく使うのがS11です。

測定器からDUTへ信号を送り、そのうちどれくらいが戻ってきたかを測定します。

アンテナであれば、入力インピーダンス、リターンロス、SWRなどを見ることで、給電点の状態や共振周波数を確認できます。

例えば50Ω系のアンテナでSWRが大きい場合、無線機から送り出した電力の一部がアンテナ側で反射します。

NanoVNAがアマチュア無線で人気なのは、このS11測定を非常に低い予算で行えるからです。

S21で通過特性を確認する

S21ではPort 1から入力した信号が、Port 2へどの程度伝わったかを確認できます。

例えばバンドパスフィルタなら、通したい周波数では損失が小さく、止めたい周波数では信号が小さくなるはずです。

この特性を周波数を変えながら測ると、フィルタの通過帯域や阻止特性が見えてきます。

ケーブルの挿入損失や、簡単な受動回路の特性を見る場合にもS21を使います。

スペアナとは役割が違う

ネットワークアナライザとスペクトラムアナライザは、どちらも横軸に周波数が表示されるため、初心者だと似て見えるかもしれません。

しかし、役割は違います。

VNAは自分で既知の信号をDUTへ入れ、その入力と出力の関係を測る装置です。一方、スペクトラムアナライザは入力された信号に「どの周波数成分が、どれくらいの強さで存在するか」を観測します。

測定器の違いについては、シグナルアナライザとスペクトラムアナライザの違いも参考にしてください。

NanoVNA購入前に確認すること

NanoVNAは安価だからこそ、勢いで購入しやすい測定器です。ただ、モデル選びを間違えると「測りたかった周波数が測れない」ということもあります。

必要な周波数を決める

最初に考えるのは測定周波数です。例えばHF帯や144MHz、430MHzのアンテナが中心なら、数GHzまで必要とは限りません。

逆に2.4GHzや5GHz帯のアンテナ、フィルタなどを測りたいなら、対応周波数を慎重に確認する必要があります。

最高周波数だけでなく、その周波数帯でどの程度の性能が得られるかも重要です。

コピー品には注意する

NanoVNAはオープンな設計から発展してきたため、非常に多くの製品が市場に存在します。

見た目が似ていても内部構成や部品品質が同じとは限りません。

NanoRFEもNanoVNA V2について、性能の低いコピー品が存在すると注意喚起しています。

価格だけでなく、開発元、販売元、ファームウェア更新、サポート情報を確認して選んだ方が安心でしょう。

校正キットも確認する

NanoVNAで正しく測定するなら校正はほぼ必須です。

少なくとも使用するコネクタに対応したOpen、Short、Load、Throughを準備しておきたいところです。

本体セットに付属している場合もありますが、別売りの場合もあります。

また、変換コネクタを校正後に追加すると、その変換部分が測定系に含まれてしまいます。できる限り実際にDUTを接続する基準面で校正してください。

RFケーブルも予算に入れる

NanoVNA本体を買って予算を使い切るより、測定に使いやすいRFケーブルも準備しておくことをおすすめします。

特に2ポート測定ではケーブルが必要になる場面が増えます。

安価なケーブルでも簡単な確認はできますが、高い周波数を扱うほどケーブル損失や再現性が効いてきます。

本体、校正キット、ケーブルまでを一つの測定セットとして考える方が実用的です。

NanoVNAの具体的なモデル、周波数範囲、選び方はNanoVNAの種類と選び方で比較しています。本体・校正キット・測定ケーブルまで含めて選ぶと失敗しにくいですよ。

業務用VNAはレンタルもあり

業務用VNAが必要だからといって、必ず購入しなければならないわけではありません。使用頻度によってはレンタルの方が合理的です。

数週間だけ高性能な業務用VNAが必要な場合はレンタルが合理的であることを示す図

短期間ならレンタルしやすい

例えば、ある製品の開発期間だけVNAが必要、数週間だけ高い周波数を測りたい、普段使っている測定器では足りない、といったケースです。

数百万円の設備を購入しても、その後ほとんど使わないのであれば費用対効果はよくありません。

そのような場合は、必要な期間だけ機材をレンタルした方が合理的でしょう。

特にGHz帯以上の高性能測定器は、購入価格だけでなく校正や保管にも費用がかかります。

購入向きのケースもある

一方、日常的にRF回路を設計していて毎週のようにVNAを使うなら、自社設備として保有する方が便利です。

測定器を借りるたびに予約、受け取り、返却を行う必要がなく、設計中に「ちょっと確認したい」というときにすぐ測れます。

開発現場では、この「すぐ測れる」という価値がかなり大きいです。

そのため、単純に「レンタル料金×使用月数」で比較するだけではなく、設備の稼働率や開発効率まで含めて判断した方がよいでしょう。

価格だけで選ばない判断方法

結局のところ、ネットワークアナライザ選びで重要なのは予算より先に「何を測り、その結果を何に使うか」を決めることです。

目的 おすすめ 理由
アマチュア無線アンテナ調整 NanoVNA 費用対効果が高い
RFの勉強 NanoVNA Sパラメータを実際に確認できる
簡単なフィルタ確認 NanoVNA 傾向確認なら使いやすい
製品設計 業務用VNA 確度と再現性を確保しやすい
品質判定 業務用VNA 測定結果への信頼性が必要
短期間だけ高度な測定 レンタル 設備投資を抑えやすい

測定結果を製品判定に使うか、継続的に使用するかによってNanoVNA・業務用VNA購入・レンタルを選ぶ判断フロー

趣味ならNanoVNAが有力

個人でアンテナを作ったり、アマチュア無線を楽しんだりするのであれば、私はNanoVNAをおすすめします。

業務用VNAを個人で購入するのは現実的ではありませんし、アンテナの共振点を見るだけなら明らかにオーバースペックです。

数万円の測定器でスミスチャートやSパラメータまで見られるのは、以前からRF測定器を使ってきた立場からするとかなり面白い時代になったと思います。

仕事なら信頼性を優先する

一方、製品設計や品質保証では、価格よりも測定結果をどこまで信用できるかを優先した方がいいでしょう。

仮に測定器を安くできても、誤った測定結果をもとに製品を設計してしまえば、その損失の方がはるかに大きくなる可能性があります。

測定器は「数字を表示する装置」ではありません。

その数字を根拠に、設計変更するのか、部品を変更するのか、製品を出荷するのかを判断する道具です。

だからこそ業務では、確度、再現性、校正、保守まで含めて選ぶ必要があります。

◆ワンポイントアドバイス

私なら「NanoVNAか業務用VNAか」で迷ったとき、まず測定値を何に使うのか考えます。自分のアンテナを調整するならNanoVNA。製品仕様を判定する数字として使うなら業務用VNA。この線引きが一番分かりやすいかなと思います。

高性能機が一度だけ必要なら借りる

普段は数百MHzまでしか測らないのに、今回だけ10GHz以上の測定が必要というケースもあります。

その一度のために高周波対応VNAを購入する必要はないかもしれません。

このようなときこそレンタルが候補になります。

逆に、毎月のようにレンタルするのであれば購入との費用差が小さくなる可能性があります。会社で導入する場合は使用頻度、校正費用、保守費用、資産管理まで含めて比較してみてください。

購入前に確認したい費用

ネットワークアナライザの導入費用は、本体価格だけでは決まりません。周辺機器まで含めて考えないと、購入後に追加費用が膨らみます。

校正キットの費用

まず確認したいのが校正キットです。

本体に付属するのか、別途購入が必要なのかを確認しましょう。

特に業務用VNAでは、使用する周波数、コネクタ、必要な確度に合わせて校正器を選びます。電子校正器を追加すると便利ですが、当然ながら導入費用は上がります。

コネクタ類の費用

測定対象がSMAなのか、N型なのか、ほかのRFコネクタなのかによっても必要なアクセサリーが変わります。

変換アダプタは数が増えるほど測定誤差の要因にもなります。

「とりあえず変換すればつながる」という考えではなく、できるだけシンプルな測定系にするのがおすすめです。

校正と保守の費用

会社で使う測定器では、定期校正も考える必要があります。

特に品質管理や顧客への測定結果提出に使う場合は、測定器が適切な状態で管理されていることが重要です。

本体購入時だけでなく、数年間使った場合の維持費まで含めて比較してください。

ネットワークアナライザの価格、仕様、レンタル料金は、構成や時期によって変わります。この記事で紹介した金額は一般的な目安や2026年9月時点で確認できた情報です。購入・レンタル前にはメーカーやレンタル会社の公式サイトで最新情報を確認し、業務用途で測定確度や校正が重要な場合は、メーカーや計測器の専門家へ相談してください。

ネットワークアナライザのよくある質問(FAQ)

Q1. ネットワークアナライザはいくらしますか?

A. NanoVNA系なら数万円前後から購入できます。一方、メーカー向けの業務用VNAは数百万円になることが多く、構成や性能によっては1000万円近くになる場合もあります。周波数範囲やオプションによって大きく変わるため、正確な価格はメーカーや販売代理店へ確認してください。

Q2. NanoVNAで業務用VNAの代わりになりますか?

A. 用途によります。アンテナ調整やRF回路の傾向確認ならNanoVNAはかなり便利です。しかし、製品評価や品質判定など、確度、再現性、広いダイナミックレンジ、校正管理が必要な測定では業務用VNAが適しています。

Q3. NanoVNAはアンテナ調整に使えますか?

A. はい。NanoVNAの得意な用途の一つです。S11、リターンロス、SWR、インピーダンス、スミスチャートなどを確認できるため、アマチュア無線アンテナの共振周波数やマッチング状態を見る用途に適しています。

Q4. ネットワークアナライザは中古でも大丈夫ですか?

A. 中古というだけで使えないわけではありません。ただし、校正状態、故障履歴、周波数オプション、付属品、メーカーサポートの有無を確認する必要があります。業務で重要な測定に使う場合は、購入後の校正費用まで含めて検討した方がよいでしょう。

Q5. 業務用VNAは買うのと借りるのとどちらがお得ですか?

A. 使用頻度で判断するのがおすすめです。数日から数週間だけ高性能なVNAが必要ならレンタルが有力です。一方、設計現場で日常的に使用するのであれば、自社設備として購入した方が使いやすい場合があります。レンタル料金だけでなく、校正費用、保守、設備の稼働率まで含めて比較してください。

まとめ

ネットワークアナライザの価格は、NanoVNAの数万円クラスから、業務用VNAの数百万円クラスまで非常に大きな差があります。

私自身、業務ではKeysightなどのネットワークアナライザを使いますが、個人がアンテナ調整をするために数百万円の測定器を購入する必要はありません。

逆に、製品評価で確度や再現性が必要なのに、「NanoVNAで似たグラフが出るから大丈夫」と考えるのも危険です。

  • アンテナ調整やRF学習ならNanoVNAの費用対効果が高い
  • 製品開発や品質評価なら業務用VNAが適している
  • 本体だけでなく校正キットやRFケーブルも必要になる
  • 高性能機を短期間だけ使うならレンタルも検討する

ネットワークアナライザは、価格差ではなく「測定結果にどこまで信頼性を求めるか」で選ぶのが一番大切です。

ネットワークアナライザは価格だけでなく測定結果に求める信頼性と責任で選ぶことを示したまとめスライド

趣味で初めてVNAを使うなら、まずはNanoVNAでS11やスミスチャートを実際に触ってみるのがおすすめです。数値だけだったRFの世界が、かなり目に見えるようになりますよ。

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レオ

Wireless Tech Note 運営者 無線技術や通信の仕組みを、できるだけやさしく整理して発信しています。第一級陸上無線技術士・基本情報技術者の知識と、RF設計・EMC実務の経験を活かして記事を作成しています。

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