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tinySAでスプリアス測定する方法|高調波の見方と注意点

tinySAを使ったスプリアス測定と高調波の見方、安全な接続方法を解説するスライド

tinySAを手にすると、まず試してみたくなるのが送信機のスペクトル測定ではないでしょうか。基本波だけでなく、2倍、3倍の周波数に出る高調波や、意図しない不要な成分まで見えるので、無線機や発振回路を触っている人にはかなり面白い測定器です。

私も業務ではスペクトラムアナライザをよく使いますが、業務用の測定器はかなり高価です。安いクラスでも数百万円になることがあり、「自宅でも気軽にスペクトルを見られる測定器があればいいのに」と思うことがあります。その点、tinySAは価格を考えると驚くほど実用的。趣味の無線や電子工作で、スプリアスや高調波の傾向を見る用途なら十分に役立つと感じています。

ただし、送信機の出力をそのままtinySAへ入れてはいけません。入力を壊すだけでなく、入力段を飽和させると、本当は存在しない高調波をtinySA自身が作ってしまうこともあります。ここを理解せずに測ると、画面はそれらしくても結果はかなり怪しいものになってしまいます。

この記事では、第一級陸上無線技術士として無線回路設計や測定に携わってきた立場から、tinySAを使ったスプリアス測定の考え方、接続方法、アッテネータの選び方、RBWやSPANの設定、結果の読み方まで順番に解説します。

  • tinySAでスプリアスや高調波を測る基本手順
  • 送信機とtinySAを安全につなぐ方法
  • RBWやdBm・dBcの読み方
  • 法規上の適合確認に使うときの注意点

tinySAのスプリアス測定で押さえる基礎

tinySAの操作だけなら難しくありません。周波数範囲を決めて、信号を入れて、マーカーでレベルを見るだけです。ところが、スプリアス測定は「表示されたピークを読む」だけでは不十分なんですね。測定器の入力レベル、測定帯域幅、被測定機器との接続方法まで含めて考える必要があります。

スプリアスと高調波の違い

まず言葉をそろえておきましょう。無線機の送信信号には、本来送信したい周波数成分である基本波があります。例えば145MHzで送信するなら、中心となる145MHz付近が基本波です。

一方、回路の非線形性によって基本波の整数倍に現れる成分が高調波です。145MHzなら2次高調波は290MHz、3次高調波は435MHz。こうした高調波は不要発射の代表例ですが、スプリアスという言葉は高調波だけを指すわけではありません。

発振器やミキサー、PLL、デジタル回路などから生じる不要な発射もありますし、送信周波数のすぐ近くに広がる成分と、十分に離れた周波数に現れる成分では法規上の扱いも異なります。なので、この記事では「スプリアス測定」を、基本波以外に現れる不要な周波数成分を確認する測定として広めに扱います。

高調波はスプリアスの代表例ですが、スプリアス=高調波だけではありません。基本波の整数倍以外に現れる不要なピークも確認する必要があります。

tinySAで何が測れるのか

tinySAは小型の掃引型スペクトラムアナライザです。横軸に周波数、縦軸にレベルを表示し、指定した範囲を順番に掃引してスペクトルを表示します。オシロスコープが時間方向の波形を見る測定器なら、スペクトラムアナライザは周波数方向に信号を分解して見る測定器、と考えると分かりやすいでしょう。

現行のtinySA Basicは主に100kHz~350MHzのLow入力と240MHz~960MHzのHigh入力を持ちます。一方、tinySA Ultra系は4インチ画面になり、通常モードの上限が高く、Ultra+ ZS407では通常モードが900MHzまで、Ultraモードでは7.3GHzまでレベル校正された範囲が広がっています。

さらにUltra系は最小RBWがBasicより狭く、微弱な成分を追いやすいのが利点です。アマチュア無線のHF帯や144MHz帯で高調波をざっくり確認するだけならBasicでも楽しめますが、430MHz帯の2次・3次高調波や、より高い周波数まで見たいならUltra系の方が扱いやすいでしょう。

tinySA BasicとtinySA Ultra+ ZS407の測定範囲、最小RBW、適した用途を比較した表

ただし、周波数範囲が広いからといって、すべての周波数で業務用スペアナと同じ精度が得られるわけではありません。特にUltraモードは内部のミラーやスプリアスを抑えるために複数回の測定を利用しており、短時間しか出ない信号や広帯域信号では扱いに注意が必要です。

業務用スペアナとの違い

私は業務ではシグナルアナライザを使うことがあります。こうした測定器は価格もサイズもtinySAとはまったく別物ですが、そのぶんダイナミックレンジ、位相雑音、レベル確度、周波数確度、測定帯域幅、各種自動測定などで大きな余裕があります。

業務で使用されるAgilent N9010A EXAシグナルアナライザの正面パネル

業務用のAgilent N9010A EXAシグナルアナライザ。tinySAとは価格も性能も別クラスですが、基本的に見ているのは周波数ごとの信号レベルです。

ではtinySAは使えないのかというと、全くそんなことはありません。発振器の基本波と高調波を見る、フィルタを入れた前後で不要成分がどれくらい変わるか比べる、自作回路から妙な発振が出ていないか探す、といった用途では非常に便利です。机の引き出しからすぐ出せる手軽さは、高価な据え置き機にはない魅力ですよ。

数百万円クラスの業務用スペクトラムアナライザと小型tinySAを比較した図

◆ワンポイントアドバイス

tinySAは「安いから適当な測定器」ではありません。ただ、どこまで信用してよいかを理解して使うことが大切です。絶対値を何桁も追うより、基本波に対して不要波が何dB低いか、対策前後で何dB変わったかを見る用途から始めると使いやすいですよ。

送信機は直接つながない

スプリアス測定で最も大切なのは、tinySAへ大きな電力を入れないことです。例えば1Wの送信機は+30dBm、5Wなら約+37dBm、10Wなら+40dBmです。tinySAへそのまま入れられるレベルではありません。

tinySA公式では送信機の高調波測定について、tinySA入力でおおむね-20~-10dBm程度を狙う考え方が示されています。1Wなら40~50dB程度、10Wなら50~60dB程度の総減衰量が一つの目安になります。

例えば5W級のハンディ機を測るなら、50Ωダミーロードへ電力を逃がしつつ、方向性結合器や減衰器でtinySAへ入る信号を十分に落とす構成が安全です。アッテネータには許容電力がありますから、「40dBだから大丈夫」ではなく、最初の段が送信電力に耐えられるかも確認してください。

送信機のアンテナ端子とtinySAを同軸ケーブルだけで直結しないでください。tinySAの入力回路を破損するおそれがあります。また、破損しなくても入力段が飽和すると、tinySA内部で偽の高調波が発生して測定結果を誤る可能性があります。

送信機をtinySAへ直接接続せず、十分に減衰させて測定する必要性を示した図

必要な機材をそろえる

tinySAのスプリアス測定に使う50Ωダミーロード、アッテネータ、方向性結合器、SMA同軸ケーブル

低出力の発振回路を除けば、送信機のスプリアスを見るときはtinySA本体だけでは足りません。最低限、50Ω系で測定系を組めるように準備しておきたいところです。

機材 役割 確認したいこと
tinySA スペクトル表示 測りたい周波数が範囲内か
固定アッテネータ 入力レベルを低下 減衰量と許容電力
50Ωダミーロード 送信電力を終端 周波数範囲と許容電力
方向性結合器またはサンプラ 送信信号の一部を取り出す 結合度と周波数特性
SMA同軸ケーブル 測定器間を接続 50Ω、周波数特性、接触不良
tinySAなどRF測定器の接続に使用するSMAコネクタ付き50Ω同軸ケーブル

tinySAの測定で使うSMAコネクタ付き同軸ケーブル。スプリアス測定ではケーブルやアッテネータも50Ω系でそろえます。

同軸ケーブルや変換コネクタの損失は周波数が高くなるほど無視しにくくなります。基本波が145MHzで2次高調波が290MHzなら影響はまだ小さくても、430MHzの3次高調波は1.29GHzです。ケーブルやアッテネータの周波数特性が悪ければ、実際より高調波が小さく見えることもあります。

測定値を真面目に比較するなら、測定系全体の損失も頭に入れてください。相対値だけを見る場合でも、基本波と高調波で経路損失が大きく違わないかは確認しておくと安心です。

tinySAでスプリアス測定する手順とコツ

ここから実際の測定手順です。大きな流れは、送信機を安全なレベルまで減衰させ、まず広いSPANで全体を見る。そのあと気になるピークへ寄り、RBWを狭めて詳しく見る、という進め方になります。最初から細かい条件に追い込むより、この方が見落としが少なくなります。

測定系を安全に接続する

まず送信機、ダミーロード、アッテネータ、tinySAを接続します。方向性結合器を使う場合は送信電力の大部分をダミーロードへ流し、結合ポートから取り出した小さな信号をさらにアッテネータで落としてtinySAへ入れます。

ここで重要なのが、減衰量を計算してから送信すること。例えば送信機が5Wなら約+37dBmです。方向性結合器で30dB落ちればサンプル側は約+7dBm。そこへ20dBのアッテネータを追加すればtinySA入力は概算で-13dBmになります。高調波を見るには扱いやすいレベルです。

もちろん、これは計算例にすぎません。実際には方向性結合器の結合度、ケーブル損失、アッテネータの誤差、送信機の実出力で変わります。最初はさらに余裕を持って大きめに減衰させ、tinySAで基本波のレベルを確認しながら詰める方が安全でしょう。

◆ワンポイントアドバイス

私は測定器へRFを入れるとき、「最大入力を超えない」だけではなく「入力段を飽和させない」ことも気にします。壊れなくても、飽和すれば測定値は信用できません。スプリアス測定では特に大事な考え方です。

広いSPANで全体を見る

接続できたら、最初は周波数範囲を広めに設定します。例えば145MHzの信号なら、2次高調波の290MHz、3次高調波の435MHz、4次高調波の580MHzというように整数倍の位置を意識します。

tinySAにはHARMONIC測定機能があり、基本波周波数を指定して高調波へマーカーを配置できます。初めて使うならかなり便利です。とはいえ、整数倍だけ見て終わるのではなく、全体を一度眺めて、基本波と無関係に見えるピークがないかも確認してください。

周波数範囲を広くすると一つひとつのピークを細かく見るには不利ですが、まず「どこに何があるか」を把握できます。地図を見るときに、いきなり路地へ入るより最初に市全体を見る感覚に近いですね。

RBWを狭めて詳しく見る

気になるスプリアスが見つかったら、その周波数付近へSPANを狭め、RBWも小さくして測ります。RBWはResolution Bandwidth、つまり分解能帯域幅です。略してレゾバンと言ったりすることもあります。簡単に言うと、周波数方向をどのくらい細かく見るかを決めるフィルタ幅になります。

RBWを狭くすると近接した信号を分けやすくなり、ノイズフロアも下がるので、小さなスプリアスを見つけやすくなります。ただし掃引時間は長くなります。tinySAでは特に狭いRBWほど測定に時間がかかるため、最初から最小RBWにするより、広い範囲では広め、詳細確認では狭め、と切り替えるのが使いやすいでしょう。

広いSPAN+広めのRBWで探索し、怪しいピークを見つけたらSPANとRBWを狭めて確認する。これがスペクトラムアナライザ測定の基本的な進め方です。

tinySAで広いSPANから測定を始め、気になるピークを狭いSPANとRBWで詳しく確認する手順

dBmとdBcを読み分ける

スプリアス測定ではdBmとdBcがよく出てきます。dBmは1mWを基準にした絶対電力です。0dBmが1mW、+10dBmが10mW、+30dBmが1Wになります。

dBcは搬送波、つまり基準となる基本波に対して何dB低いかを表す相対値です。例えばtinySA画面で基本波が-15dBm、2次高調波が-65dBmなら、差は50dBです。この場合、2次高調波は-50dBcと表せます。

計算式は単純で、スプリアスのdBc=スプリアスのdBm-基本波のdBmです。-65-(-15)=-50dBcというわけですね。

基本波マイナス15dBmと高調波マイナス65dBmの差50dBからマイナス50dBcを求める図

dBcの便利なところは、途中にアッテネータが入っていても、基本波とスプリアスに同じ減衰がかかる範囲なら相対差を見やすいことです。ただし、高調波の周波数ではケーブルやアッテネータの損失が増えることがあるため、厳密には周波数特性の補正が必要になります。

偽スプリアスを見分ける

tinySAで高調波を測るとき、ぜひ試してほしいのが入力アッテネータを変えて再測定する方法です。もし画面に見えている高調波が本当に送信機から来ているなら、tinySA内部の減衰量を変えても、補正後の表示レベルは大きく変わらないはずです。

ところが、入力段の過負荷によってtinySA自身が高調波を作っている場合は、減衰量を増やすと高調波が急に小さくなることがあります。これはかなり分かりやすい確認方法です。

つまり、アッテネータを増やしたらスプリアスだけが大きく下がった場合、そのピークは測定器内部で生まれた可能性を疑うということ。業務用スペアナでも入力ミキサの過負荷は測定ミスにつながりますが、tinySAでは価格とのトレードオフもあり、この確認はなおさら重要です。

tinySAの入力アッテネータを増やして本物のスプリアスと過負荷による偽スプリアスを見分ける方法

また、tinySAにはSPUR REMOVALやスプリアス抑制に関する機能があります。内部由来の信号かどうか判断するときに役立ちますが、機能をONにすれば何でも正しくなるわけではありません。入力レベルを適切にすることが先です。

アンテナで測る方法は別物

「無線機から出ているスプリアスなら、tinySAにアンテナを付けて近くで受信すればいいのでは?」と思うかもしれません。傾向を見るだけならできますが、送信機の端子出力を評価する測定とは別物です。

空間を飛ばすと、アンテナの周波数特性、偏波、距離、反射、周囲の電波、tinySA側アンテナの利得などが全部加わります。基本波にはよく合うアンテナでも、高調波の周波数では感度が大きく違うこともあります。そのため、基本波と高調波のレベル差をそのまま送信機のdBcとして扱うことはできません。

自作回路から「何か変な電波が出ていないか」を探す近傍測定ならアンテナや簡易プローブは便利です。しかし、送信機の出力端で何dBcの高調波があるかを知りたいなら、50Ω系の伝導測定を基本にしてください。

法規の適合判定には注意する

ここは重要です。日本の無線設備では、スプリアス発射や不要発射の許容値が無線設備規則で定められています。ただし、すべての無線機に共通の「何dBc以下ならOK」という単純なルールではありません。

無線局の種類、周波数、必要周波数帯幅、帯域外領域とスプリアス領域、参照帯域幅などによって測定条件や許容値が変わります。スプリアス領域の測定では、周波数帯によって参照帯域幅が決められている場合もあるため、tinySAのRBWを適当に選んだ結果と法規値をそのまま比較するのは危険です。

そのため、tinySAは自作機器やアマチュア無線機の状態確認、対策前後の比較、異常の発見にはかなり使えますが、tinySAだけの測定結果をもって公的な技術基準への適合を証明できる、と考えない方がよいでしょう。正式な試験では、対象設備に定められた試験方法、測定帯域幅、検波方式、測定器の校正や不確かさなども含めて確認する必要があります。

tinySAは異常発見や自作回路の確認には使えるが技適など正式な法規適合の証明には使えないことを示す図

法令適合を判断する場合は、対象となる無線設備の最新の無線設備規則、告示、試験方法を確認してください。業務や認証に関わる最終判断は、登録証明機関や測定に詳しい専門家へ相談するのが確実です。

tinySA Ultraを選ぶべき人

これからtinySAを買ってスプリアス測定もしたいなら、私は測定したい周波数から選ぶのがよいと思います。HF帯の発振回路や50MHz、144MHzあたりを中心に遊ぶならBasicでも十分面白いです。価格も抑えられますし、tinySAの考え方を覚えるには良い入口でしょう。

一方、430MHz帯の送信機を測ると、第2次高調波は860MHz、第3次高調波は1.29GHzです。Basicでは高調波を十分な範囲まで追いにくくなります。そういう用途なら、最初からtinySA Ultra+の方が後悔しにくいですね。

Ultra+ ZS407なら通常モードで900MHzまで、Ultraモードで7.3GHzまでレベル校正された範囲があり、200HzからのRBWも使えます。5GHz帯やWi-Fi周辺まで触りたい人にも余裕があります。

購入の目安:HF・VHF中心ならBasicでも十分。430MHzの高調波やGHz帯まで測りたいならUltra+が扱いやすいでしょう。安さだけで販売店を選ばず、正規品を扱う販売者かも確認してください。

なお、Wireless Tech Noteでは、アンテナやフィルタのSWR・インピーダンスを見る測定器としてNanoVNAも紹介しています。tinySAが「周波数ごとの信号レベルを見る測定器」なのに対し、NanoVNAは「アンテナや回路の反射・通過特性を見る測定器」です。用途が違うので、迷っている方はNanoVNAの種類と選び方も参考にしてください。

tinySAのスプリアス測定FAQ

Q1. tinySAに無線機を直接つないでも大丈夫ですか?

A. 基本的にはおすすめしません。無線機の送信出力はtinySAの許容入力を大きく超えることがあります。ダミーロード、方向性結合器、アッテネータなどを使い、tinySAへ入るレベルを十分に下げてから測ってください。

Q2. 高調波測定ならBasicでもできますか?

A. できます。HF帯や144MHz付近など、見たい高調波が測定範囲へ収まる用途ならBasicでも十分楽しめます。ただ、430MHzの第3次高調波は1.29GHzなので、より高い周波数まで追いたい場合はUltra系が向いています。

Q3. スプリアスが見えたら無線機の故障ですか?

A. すぐ故障とは判断できません。送信機由来の高調波だけでなく、tinySAの入力過大によって内部で生じた信号、外来波、測定系の影響も考えられます。アッテネータ量を変えたり、周波数SPANを狭めたりして再確認してください。

Q4. RBWは小さいほど正確ですか?

A. 常に小さければよいわけではありません。狭いRBWは近接信号を分離しやすく、ノイズフロアも下げられますが、掃引時間が長くなります。また法規測定では参照帯域幅が指定される場合があります。目的に合うRBWを選ぶことが大切です。

Q5. tinySAで技適や無線局検査と同じ判定ができますか?

A. tinySAは状態確認や比較測定には便利ですが、それだけで技術基準への正式な適合を証明するものではありません。対象設備ごとの試験方法や測定条件を確認し、公的な証明や認証が必要な場合は登録証明機関などへ相談してください。

tinySAのスプリアス測定を正しく使おう

tinySAは、手のひらサイズと手頃な価格からは想像しにくいほど、無線の学習や電子工作に使える測定器です。基本波と高調波の関係を画面で見るだけでも、「回路の非線形性がこう見えるのか」と理解が一気に進みます。

一方で、スプリアス測定では入力レベルの管理が何より重要です。送信機を直結せず、ダミーロードやアッテネータを使うこと。広いSPANで全体を見てからRBWを狭めること。さらに、アッテネータ量を変えて同じピークが残るか確認し、tinySA自身が作った偽スプリアスではないかを確かめること。この3点だけでも測定の信頼度はかなり変わります。

そして、趣味の確認測定と法規上の適合試験は分けて考えてください。tinySAで「怪しい」「十分低そう」という判断はできますが、正式な技術基準への適合を判断するときは、対象となる規則と試験方法が基準です。

私自身、高価なスペクトラムアナライザを仕事で使っているからこそ、tinySAの手軽さにはかなり魅力を感じます。数百万円の測定器を自宅に置くのは現実的ではありませんが、tinySAなら電波を目で見る入口を簡単に作れます。まずは低出力の信号源や安全に減衰させた送信機から、基本波と高調波を見比べてみてください。無線の世界が一段立体的に見えてくるはずですよ。

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レオ

Wireless Tech Note 運営者 無線技術や通信の仕組みを、できるだけやさしく整理して発信しています。第一級陸上無線技術士・基本情報技術者の知識と、RF設計・EMC実務の経験を活かして記事を作成しています。

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