スペクトラムアナライザを選ぼうとして、数万円の小型機と業務用の据置機の違いが分からず、手が止まっていませんか。中古なら上位機も候補に入りますが、安い一台を見つけても、自分の測定に使えるかは別の話ですよね。
結論から言うと、測りたい最高周波数、RBW、表示平均雑音レベル、入力上限、トラッキングジェネレータの要否を先に決めると選びやすくなります。初めてなら、仕様と購入後の相談先が明確な新品を優先し、中古は搭載機能・校正履歴・保証を確認できる個体から選びましょう。
この記事では、無線回路設計者・第一級陸上無線技術士のレオが、tinySA、RIGOL、SIGLENT、アンリツを用途別に検討する方法と、新品・中古の価格の読み方を解説します。各機種を実機で比較したランキングではなく、公開仕様と測定目的に基づく選定ガイドです。
- 用途に合うスペクトラムアナライザの候補
- 新品価格と中古・整備済み品の比較方法
- 周波数範囲やRBWなど仕様の読み方
- 購入前に確認する付属品と入力保護
おすすめは測定用途で変わる
誰にでも最適な一台はありません。まずは「何の信号を、どこまで詳しく見たいか」を決めて、候補を絞っていきます。
用途別の候補を比較

| 主な用途 | 候補 | 選ぶ理由と注意点 |
|---|---|---|
| 携帯して電波やノイズを観察 | tinySA Ultra+ ZS407 | 小型・電池駆動。測定モードによる性能差と入力管理を理解して使う |
| 1.5GHz以下の回路・フィルタ測定 | RIGOL DSA815-TG | TG付き据置機。2.4GHz帯の基本波は範囲外 |
| 2.4GHz帯を含む据置測定 | SIGLENT SSA3032X Plus | 上限3.2GHz。2.4GHz帯の高調波まで全て測れるわけではない |
| 5GHz帯や高調波まで測定 | SIGLENT SSA3075X Plus | 上限7.5GHz。対象信号の周波数と次数を照合する |
| 業務の測定条件に合わせて導入 | アンリツの対応機種・MS2830Aなど | 必要機能を指定して見積もり。中古は個体の構成と保守可否が前提 |
周波数範囲などの製品仕様は、tinySA公式比較表、RIGOL DSA800公式ページ、SIGLENT SSA3000X Plus公式ページで確認できます。アンリツについては後述のとおり、用途と構成を指定して相談する選び方です。
スペアナで分かること
スペアナは、横軸に周波数、縦軸に信号レベルを表示する測定器です。発振周波数、基本波に対する高調波、不要な信号の有無などを確認できます。正式には「スペクトラムアナライザー」と言います。

一方、デジタル変調の品質、位相、通信データの内容まで、どの機種でも読めるわけではありません。必要ならIQ取り込みや変調解析機能、その信号に対応する解析帯域幅も検討します。
名前の違いで迷う場合は、シグナルアナライザとスペクトラムアナライザの違いも参考にしてください。今回は周波数ごとのレベルを測る用途を中心に選びます。

Agilent N9010A EXAシグナルアナライザ。業務用測定器の外観例であり、今回の価格比較対象とは別の機種です。
新品・中古の価格を比較
本体価格だけでは、購入後に測定を始められるか分かりません。まず確認できる掲載価格を見て、その後に必要な費用を足して比較します。
確認できる新品の掲載価格
| 機種 | 掲載価格 | 掲載元・条件 |
|---|---|---|
| tinySA Ultra+ ZS407 | 33,800円(税込) | スイッチサイエンス。 |
| DSA815-TG | 899.10米ドル | RIGOL北米公式の割引表示価格。通常表示999米ドル |
| SSA3021X Plus | 1,733米ドル | SIGLENT北米公式。上限2.1GHz |
| SSA3032X Plus | 3,035米ドル | SIGLENT北米公式。上限3.2GHz |
| SSA3075X Plus | 7,481米ドル | SIGLENT北米公式。上限7.5GHz |
| アンリツの業務用機 | 構成を指定して見積もり | 本記事では国内の確定価格を提示しない |
価格の出典:スイッチサイエンス ZS407、RIGOL北米公式の機種別価格、SIGLENT北米公式の機種別価格。
米ドル表示は日本国内の税込販売価格ではありません。日本向け販売の可否、送料、税、決済時の為替、保証窓口は別に確認が必要です。ここでの価格は比較の参考となる掲載例であり、国内相場や購入総額を保証するものではありません。
国内で買う場合は、必要なオプションをそろえた円建て見積もりを取得してください。海外価格の単純な円換算と、国内サポート込みの見積もりを並べても、条件をそろえた比較にはならないためです。
中古と整備済み品は区別する
価格の安い中古品には、動作未確認、通電確認のみ、販売店による点検済み、校正付きなどの違いがあります。「中古」という一語だけで同じ条件だと考えないようにしましょう。
整備済み品の掲載例として、RIGOL欧州ショップのDSA800製品一覧には、DSA832E Refurbishedが1,298.50ユーロと表示されています。ただし、これは別機種の海外掲載例であり、DSA815-TGの中古相場でも、日本向けの税込・送料込み価格でもありません。
出典:RIGOL欧州ショップのDSA800機種一覧。整備の範囲、校正書類、付属品、保証条件は販売側に確認してください。国内中古品は同一型番でも構成差が大きいため、本記事では未確認の実売相場を断定しません。
本体以外も含めた総額で判断
比較に使う金額は、本体+必要オプション+入力保護部品+ケーブル類+校正費+送料などです。中古の本体が安くても、必要な機能を追加できなければ、そもそも用途を満たせません。

例えば、同じ測定条件を満たすと仮定して、新品の総額が30万円、中古本体が18万円、追加校正・付属品が7万円なら、中古の総額は25万円で差額は5万円です。これは計算方法を示す仮の数字で、実売価格ではありません。
この差額なら保証や修理対応を重視して新品を選ぶ、差額がもっと大きく必要仕様も満たすなら中古にする、と判断できます。使用頻度が低い場合は、購入に加えて必要期間だけのレンタルも見積もるとよいですよ。
購入前に確認する五つの仕様

仕様表の数字には、それぞれ役割があります。広告で目立つ最高周波数だけでなく、測りたい信号を見分けられる条件まで確認しましょう。
最高周波数は高調波まで考える
測定器の上限は、無線機の送信周波数だけで決めないでください。430MHzの信号なら第2高調波は860MHz、第3高調波は1,290MHzです。上限1.5GHzの機種ではこの第3高調波まで範囲に入りますが、第4高調波の1,720MHzは入りません。
同様に、2.4GHzの第2高調波は4.8GHz、第3高調波は7.2GHzになります。上限3.2GHzの機種で基本波を観察できても、第2・第3高調波は測れません。帯域を持つ実際の信号では、中心周波数だけでなく上端側まで考える必要があります。

「何GHzの無線を使うか」ではなく、「測定で何GHzまで確認するか」を先に決める。これが、購入後の範囲不足を防ぐ最初のポイントです。
下限周波数も確認しましょう。低い周波数の発振や電源由来の成分を見たい場合、上限が高い機種でも目的の低周波まで対応しているとは限りません。周波数範囲内でも、端の帯域では感度や振幅確度の条件が変わることがあります。
RBWは信号を見分ける幅
RBWは分解能帯域幅で、近接する信号を分けて観察するときに関係します。狭いRBWを使えるほど細かく見やすくなりますが、実際の見分けやすさにはフィルタの形や、信号同士のレベル差も影響します。

広い範囲をまず確認し、気になる周波数の周辺に表示範囲を絞ってからRBWを狭めると扱いやすいでしょう。最初から最小RBWで全帯域を測ると、機種や方式によっては測定時間が長くなります。
また、仕様の「周波数分解能1Hz」と「RBW 1Hz」は同じ意味ではありません。設定や表示の刻みが細かくても、近接した二つの信号を分離できるとは限らないので、RBWの項目を探してください。
変調信号の電力を測る際は、RBWを狭めた状態の一点の高さを、そのまま信号全体の電力としないことも大切です。信号の帯域に合わせた設定や、帯域内の電力を合計する測定機能が必要になります。
雑音レベルは測定条件をそろえる
表示平均雑音レベルはDANLとも呼ばれ、測定器自身の雑音が表示にどの程度現れるかを示します。小さな不要波を見るには大切ですが、カタログの最も低い数字だけで優劣を決めるのは早いです。
確認するのは、対象周波数、RBW、プリアンプのオン・オフ、入力アッテネータ、検波方式など。同じ機種でも設定が変われば雑音の見え方は変わり、プリアンプを使うと大きな入力に対する余裕が減る場合もあります。
特に、1Hz帯域に換算したdBm/Hzと、あるRBWで表示されたdBmは、そのまま比較できません。白色雑音なら帯域を10倍にすると帯域内の雑音電力はおおむね10dB増えますが、実際にはフィルタの等価雑音帯域なども関係します。
例えば、1Hz換算で−160dBm/Hzという値から、1kHz帯域では単純計算で約−130dBmになります。これは帯域差の説明用の概算で、特定機種の画面表示を保証する計算ではありません。
入力上限と測定可能範囲は別
壊れない入力上限と、正確に測れる入力範囲は別です。上限以下でも内部回路が飽和すると、実際にはない高調波や相互変調成分が画面に現れる場合があります。

入力端子の最大電力だけでなく、直流電圧、連続入力か短時間のピークか、内部減衰量、プリアンプ使用時の条件まで確認してください。大きな基本波に対して微小な不要波を測るなら、感度だけでなく内部ひずみも問題になります。
初回は送信機を止めた状態で接続を確認し、必要な外部減衰を入れてから測定します。機種をまたいで「このレベルなら大丈夫」と決めつけず、使用する本体と設定に対応した取扱説明書を基準にしましょう。
TGが必要かを決める
トラッキングジェネレータはTGと略され、スペアナの測定周波数に連動して信号を出す機能です。フィルタの通過帯域やケーブルの損失などを、周波数を変えながら調べたいときに役立ちます。
発振器や送信機が出す信号を観察するだけなら、TGは必須ではありません。一方、フィルタの透過特性を繰り返し測りたいなら、TG付きがお勧めです。
TGの出力範囲はスペアナの入力範囲と同じとは限りません。低周波のフィルタを測る場合は、TG側の下限も確認してください。反射を測るにはブリッジなどが必要になり、TG付きというだけで位相やインピーダンスまで求められるわけではありません。
用途別に見るおすすめ機種
ここからは、候補ごとの向いている使い方を見ていきます。紹介順は性能順位ではなく、携帯測定から据置・業務用途へ進む順番です。
携帯観測ならtinySA
tinySA Ultra+ ZS407は、小型機でRFの観察を始めたい人の候補です。通常モードは100kHz~900MHz、Ultraモードは7.3GHzまでと案内され、最小RBWは200Hzです。周波数を広く観察できる一方で、全帯域が同じ感度・確度になるわけではありません。
参考:tinySA公式のモデル比較。ZS405、ZS406、ZS407では周波数範囲などが異なるため、「Ultra」の名前だけで仕様を判断しないでください。
スイッチサイエンスでは旧Ultraが販売終了となり、後継のZS407が案内されています。また、ZS407は受託販売商品で、販売店が技術的な質問に答える形ではない旨も記載されています。国内販売というだけで操作相談まで含まれると考えず、サポート範囲を確認しましょう。私なら、持ち運んで信号の有無を確認する用途と、厳密な振幅測定の用途を分けて考えます。
1.5GHz以下ならDSA815-TG
RIGOL DSA815-TGは、上限1.5GHz、最小RBW 10Hz、TG付きの据置型です。HF・VHF・UHFの一部を扱い、信号観察とフィルタ測定を一台で進めたい場合に検討できます。
例えば430MHz付近の基本波と第3高調波までを見る用途なら、周波数範囲の条件は満たせます。ただし、不要波を必要なレベルまで測れるかは別途確認が必要です。型番にTGがないものと、価格・付属機能を取り違えないようにしてください。
Bluetoothや2.4GHz帯Wi-Fiの基本波測定には使えません。今の用途が1GHz未満でも、次に2.4GHz帯の回路を扱う予定があるなら、購入時点で上位の周波数範囲を検討する価値があります。
仕様と販売条件:RIGOL DSA800シリーズ公式ページ。シリーズ全体の最大7.5GHzという表示を、DSA815-TG単体の上限と混同しないでください。
2.4GHz帯なら3.2GHz機
SIGLENT SSA3032X Plusは、2.4GHz帯を含む信号のスペクトラムを据置機で見たい場合の候補です。上限3.2GHz、最小RBW 1Hzで、TGが含まれる構成が公式に案内されています。
同じシリーズでもSSA3021X Plusは上限2.1GHzなので、2.4GHz帯には届きません。価格差だけを見て型番を選び間違えると、測りたい信号が画面に入らないことになります。
SSA3075X Plusは上限7.5GHzで、5GHz帯や2.4GHz帯信号の第3高調波付近も検討範囲に入ります。ただし、そこまで測る予定がないなら、周波数上限だけのために予算を増やす必要はないでしょう。
仕様の出典:SIGLENT SSA3000X Plus公式ページ
アンリツは必要な構成で選ぶ
アンリツを検討するなら、「アンリツ製だから安心」という選び方から一歩進めて、測定項目と構成を指定しましょう。MS2830Aはスペクトラム解析と信号解析を扱う機種で、メーカーから製品紹介や測定方法が公開されています。
参考:アンリツのMS2830A製品紹介。この紹介の存在だけで、現在の新規受注、全オプションの供給、中古個体の保守を保証するものではありません。
問い合わせには、最高測定周波数、信号レベル、必要な解析帯域幅、測定ソフト、校正書類の条件を添えます。中古候補なら製造番号とオプション一覧も提示し、必要な構成で使えるかを確認してください。
業務では、測定できることに加えて、同じ条件を再現できること、結果を保存できること、トラブル時に相談できることも大切です。メーカー名だけで比較を終えず、導入後の運用まで含む見積もりにしましょう。
中古で失敗しない確認事項
中古は必要な性能を予算内で得られる可能性があります。ただし、同じ型番でも中身や状態は異なるため、個体ごとの確認が欠かせません。
私が中古の提案で感じたこと
◆レオのワンポイントアドバイス
私はこれまで、業務でも中古計測器を購入したことはありません。ただ、計測器メーカーの代理店から提案を受けたことはあり、提示された性能を見たときは「十分使えそうで、悪くないな」と感じました。
そのうえで気になるのが、購入後に必要な仕様へ変更できるかです。中古は価格だけで決めず、必要な機能がその個体にそろっているかを確認する。条件を満たしていれば、選択肢に入れてよいと考えています。
なお、周波数拡張などができるかは、中古か新品かだけでは決まりません。機種、内部ハードウェア、ライセンス、販売終了したオプションの有無で変わります。新品でも後から追加できない仕様があるため、購入前に確認してください。
校正書類と動作確認を分ける
電源が入り、波形が表示されたことと、測定値の確からしさを確認できたことは別です。「校正済み」の表示があっても、実施日、校正した項目、測定結果、対象となる製造番号を見てください。
例えば、低い周波数の信号を一つ入力して表示を確認しただけでは、上限付近の振幅特性まで分かりません。必要な周波数帯で使えることが判断できる資料があるか、販売店に尋ねましょう。
校正は常に修理や調整とセットではありません。また、校正書類があるから永久に精度を保証できるわけでもないため、利用目的に応じた管理が必要です。業務で必要な証明書の種類やトレーサビリティは、社内の要求と照合します。
オプションと保証を確認

| 項目 | 販売店に確認する内容 |
|---|---|
| 個体情報 | 型番・製造番号・搭載オプションが分かる写真 |
| 測定状態 | 校正日、結果、自己診断、確認した周波数帯 |
| ライセンス | 恒久か期限付きか、譲渡後も利用できるか |
| 追加機能 | 後から必要な機能を追加できるか、その費用 |
| 付属品 | 電源コード、必要な接続部品、ソフトや書類 |
| 保証・修理 | 保証期間、対象範囲、返品条件、修理受付の可否 |
RF入力端子の損傷や、減衰器・プリアンプの切り替え異常は、外観だけでは分からない場合があります。個人売買で確認資料がないものは、測定器としてすぐ使う予算と、修理を前提に試す予算を分けて考えた方がよいでしょう。
初めての一台で状態の良否を判断する手段がないなら、仕様が明確な新品か、保証と点検内容を説明できる販売店の中古品を優先するのがおすすめです。
周辺機器と測定環境も用意
本体を買っても、信号を安全に入れられなければ測定は始まりません。接続部品と、測定結果の確かめ方まで準備しておきます。
減衰器は耐電力まで確認
RFアッテネータは入力信号を減衰させる部品です。減衰量だけでなく、対応周波数、許容電力、接続端子、反射の特性を確認します。送信機の出力が数W以上ある場合、小型の信号用減衰器をそのまま接続できるとは限りません。
例えば5Wは約37dBmで、理想的な40dBの減衰を通すと出力は約−3dBmです。しかし、この計算だけで測定可能とは判断できません。減衰器の入力側には5Wが加わるため、連続使用時の定格や放熱条件を満たし、測定器側にも十分な余裕が必要です。

さらに、平均電力が小さくてもピークが大きい信号があります。直流成分がある場合は必要に応じてDCブロックを使いますが、RF電力そのものを減らす部品ではありません。必要な接続構成は測定対象ごとに考えましょう。
ケーブルと変換端子を合わせる
RF測定では50Ω系を基本に、測定器と対象回路のインピーダンスを合わせます。SMA、N型、BNCなどの形状に加えて、オス・メス、通常極性か逆極性か、対応周波数まで確認してください。
テレビ用の75Ωケーブルを、端子がつながるという理由だけで使うのは避けましょう。測定系が変わると反射や損失の影響が入り、見たいレベルとの差を生むことがあります。
ケーブルを長くするほど便利な場面もありますが、高い周波数では損失が無視できなくなります。測定時のケーブルや減衰器の損失を把握し、必要なら周波数ごとに補正することが、測定値を比較する前提です。
Amazonや楽天で周辺部品を探す場合も、商品名に「RF対応」とあるだけで選ばず、仕様表が確認できるものを候補にしてください。本体を注文する前に、必要な端子と減衰量を書き出しておくと買い直しを減らせます。
表示された不要波を確かめる
画面に山が出たら、測定対象から出ている信号か、測定器内部で生じたものかを切り分けます。入力を追加で減衰させ、ケーブルや設定を一定に保ちながら変化を見るのが一つの方法です。
外部からの信号なら追加減衰に対応して下がることが期待できますが、内部ひずみは異なる変化をする場合があります。ただし、自動設定や補正表示によって見え方が変わるため、一回の変化だけで断定しないでください。
tinySAを使う際の接続と注意点は、tinySAでスプリアス測定する方法で解説しています。基本操作を確かめてから、測定対象に合わせた範囲やレベルへ進みましょう。
EMC用途は測定条件も確認
回路のノイズ源を探す目的と、規格への適合を判断する目的は、必要な測定条件が異なります。近傍界プローブでノイズの多い場所を探せても、その表示値だけで正式な放射エミッションの合否は決められません。
EMI向けフィルタや準尖頭値検波器の有無に加えて、アンテナ、LISN、測定場所、距離、補正値なども関係します。事前評価に使うなら、対策前後の変化を同じ条件で比較できる測定系を用意してください。
正確な情報は公式サイトと取扱説明書をご確認ください。規格適合性や高出力機器との接続について判断に迷う場合は、最終的な判断をする前にメーカーや試験機関などの専門家へご相談ください。
購入前の疑問と選び方のまとめ
最後に、購入前によく迷う点を確認します。価格と周波数範囲だけでは決まらない部分を、ここで押さえておきましょう。
スペアナ選びのよくある質問
Q1. 初心者は新品と中古のどちらがおすすめですか?
A. 状態を判断する手段がないなら、仕様とサポートが明確な新品を優先します。中古でも必要機能、校正履歴、保証を確認できれば候補になります。購入価格だけでなく、測定を始めるまでの総額で比べてください。
Q2. DSA815-TGでBluetoothを測れますか?
A. 2.4GHz帯の基本波は上限1.5GHzを超えるため測れません。3.2GHz級なら周波数範囲に入りますが、ホッピングする信号の観察方法や、変調品質の解析機能は別に確認が必要です。
Q3. 安いSDRで代用できますか?
A. 信号の存在や時間変化を見る用途では候補になります。ただし、一般的な受信用SDRは、絶対レベルの確度、入力保護、内部ひずみなどを測定器として保証しているとは限りません。画面が似ていても、必要な測定性能を満たすかで判断しましょう。
Q4. TGがあればアンテナ調整もできますか?
A. 対応する反射ブリッジなどを組み合わせれば、反射の大きさを調べられる構成があります。ただし、TGだけでは完結しません。位相や複素インピーダンスも見たい場合は、VNAを含めて検討すると目的に合いやすくなります。
Q5. 高価な機種なら短い信号も必ず捕まえられますか?
A. 価格だけでは決まりません。掃引型は観察していない時間・周波数で発生した信号を見逃すことがあり、短いバーストの捕捉にはリアルタイム帯域幅、捕捉確率の条件、トリガなどの確認が必要です。最高周波数と一度に解析できる帯域幅は別の仕様です。
必要な測定を満たす一台を選ぶ
スペクトラムアナライザのおすすめは、携帯観測ならtinySA、1.5GHz以下の据置測定ならDSA815-TG、2.4GHz帯も扱うなら3.2GHz以上の機種、業務の詳細条件に合わせるならアンリツなどを含む見積もり比較、というように用途で変わります。
- 基本波だけでなく高調波まで最高測定周波数を決める
- RBWと雑音レベルは測定条件をそろえて比較する
- 入力上限とTG・解析機能の要否を確認する
- 中古は個体の構成・校正・保証を確認する
- 減衰器やケーブルを含めた総額で判断する
私なら、まず測りたい信号と測定項目を書き出してから、必要な構成の見積もりを取ります。使わない上位機能に予算を回すよりも、目的の測定を確実に進められる本体と周辺機器をそろえる。そう考えると、あなたに合う一台を選びやすくなるはずです。