「アマチュア無線って、今もやっている人がいるの?」「スマホがある時代に、わざわざ無線を始める意味はある?」。そんな疑問を持つのは自然でしょう。巨大なアンテナや難しそうな無線機を思い浮かべる方も多いかなと思います。
ただ、現在のアマチュア無線は、昔ながらの音声交信だけの趣味ではありません。受信だけを楽しむ、山や公園から移動運用する、デジタル通信を試す、アンテナを作る、電波伝搬を観察するなど、入り口は広がっています。
無線回路を仕事で扱ってきた私から見ると、アマチュア無線の面白さは「通信できること」そのものより、電波が届くまでの過程を自分で試せることにあります。興味に合う機材と資格ルートを選べば、今から始めても十分楽しめますよ。
- アマチュア無線とは何を楽しむ趣味なのか
- 現在のアマチュア無線が昔とどう変わったのか
- 今から始める価値と向いている人
- 資格取得から開局までの基本的な流れ
アマチュア無線とは何か
まずは「アマチュア無線とは何なのか」をはっきりさせておきましょう。スマホ、業務用無線、特定小電力トランシーバーなどと似て見えますが、目的も制度も違います。
個人で通信や技術を楽しむ無線
アマチュア無線は、個人的な自己訓練、通信、技術研究などを目的として楽しむ無線です。仕事上の指示や営業活動のために使う業務用無線とは違い、趣味として電波を使い、交信や技術的な試行錯誤を楽しみます。
よくあるイメージは、無線機のマイクを持って「CQ」と呼び出し、近隣や遠方の局と話すスタイルでしょう。もちろん今でも中心的な楽しみ方ですが、それだけではありません。モールス通信、デジタル通信、画像伝送、衛星を使った交信、受信、アンテナ製作など、興味を掘り下げる方向はかなり多彩です。
私が魅力を感じるのは、同じ無線機でもアンテナ、周波数、設置場所、時間帯が変わるだけで結果が変わるところです。通信相手と話すことが目的の人もいれば、むしろ「なぜ今日は遠くまで届いたのか」を考えることに夢中になる人もいます。
スマホとは楽しむ対象が違う
スマホなら、相手の電話番号やアカウントが分かれば、ほぼ確実に相手へつながります。一方、アマチュア無線は必ずつながるとは限りません。ノイズが多い日もあれば、アンテナの向きが少し違うだけで聞こえ方が変わることもあります。
つまり、スマホは「確実に情報を届けるための道具」、アマチュア無線は「電波を使う過程そのものを楽しめる趣味」と考えると分かりやすいでしょう。便利さだけを比べるならスマホの圧勝です。でも、釣りをする人が魚屋より不便な方法をあえて選ぶように、アマチュア無線には試行錯誤そのものに価値があります。

アマチュア無線のポイント
「話すための古い通信手段」と考えるより、「電波、アンテナ、受信、交信、電子工作を横断して遊べる技術系の趣味」と考えたほうが、現在の姿に近いです。
アマチュア無線の現在
では、アマチュア無線の現在はどうなっているのでしょうか。結論から言うと、局数は長期的に減っています。ただし、それだけを見て「もう誰もやっていない」と判断するのは早いです。
局数は減少傾向にある
総務省の無線局統計をまとめた最新公表値では、2026年6月末のアマチュア局は32万5,868局です。過去のピーク時より大幅に少なくなっており、局数だけを見れば縮小している趣味なのは確かでしょう。
ここは都合よく隠す必要はないと思います。地域や時間帯によっては、144MHz帯や430MHz帯を受信しても「思ったより静かだな」と感じる場面があります。昔のように、どこへ行っても音声交信がびっしり聞こえるイメージで始めると、期待との差が出るかもしれません。
ただし、局数の減少と「楽しみがなくなったこと」は同じではありません。現在は音声だけでなく、デジタル通信、衛星、インターネット接続型のレピーター、SDR受信、移動運用などへ遊び方が分散しています。昔と同じ場所だけを聞いて「人がいない」と判断すると、現在のアマチュア無線を見落としやすいんですよ。

◆ワンポイントアドバイス
初めて無線機を買って電源を入れた瞬間に交信が聞こえなくても、失敗ではありません。周波数、時間帯、場所、アンテナで状況は大きく変わります。最初はレピーター周波数やイベント開催時など、聞こえやすい場面から試すと雰囲気をつかみやすいですよ。
2026年は日本の100周年の節目
2026年は、日本におけるアマチュア無線100周年の節目にあたります。JARLとJARDによるニューカマー向けの交信イベントも企画され、新規開局者や長く休んでいた人が参加しやすい取り組みが行われています。
面白いのは、こうした現在のイベントで、昔ながらの電話や電信だけでなく、D-STARやWIRES-Xのような仕組み、FT8などのデジタルモードも対象になっていることです。これを見るだけでも、アマチュア無線が「昔のまま止まった趣味」ではないことが分かるでしょう。
デジタル通信も普通の選択肢
現在のアマチュア無線では、パソコンを組み合わせたデジタル通信がかなり身近になっています。代表例のFT8では、短い定型情報を使って、比較的小さな信号でも交信を成立させやすいのが特徴です。マイクで長く会話するのが苦手な人でも、違う入口から無線を楽しめます。
また、D-STARやC4FMのようなデジタル音声に対応した無線機もあります。レピーターやネットワークと組み合わせる運用もあり、「空間を飛ぶ電波だけで完結しなければアマチュア無線ではない」と考える必要はありません。現在は無線とデジタル技術の境界を行き来しながら遊べる時代です。
受信だけという入口もある
「いきなり知らない人と話すのはハードルが高い」という人も多いでしょう。そんな場合は、送信せずに受信から始める方法があります。受信機やSDRを使えば、周波数を探し、信号を見つけ、アンテナによる違いを比べるだけでも十分遊べます。
送信を伴わない受信から雰囲気を知りたい方は、アマチュア無線を聞くだけで楽しむ入門も参考にしてください。送信前に実際の交信を聞いておくと、呼び出し方や会話のテンポもつかみやすくなります。
今から始める価値
アマチュア無線は、単に「誰かと話せる趣味」として見るとスマホに負けます。ですが、電波を自分で扱う体験、工作、屋外活動、観察という視点で見ると、今だからこそ面白い部分があります。
電波の仕組みを体感できる
Wi-FiやBluetooth、スマホも電波を使っていますが、普段は周波数やアンテナを意識しなくても使えます。アマチュア無線では逆です。どの周波数を使うか、アンテナをどこに置くか、障害物があるか、時間帯はどうか、といった条件がそのまま結果に表れます。
教科書で「周波数が違うと伝わり方が変わる」と読んでも、最初は実感しにくいものです。でも、144MHz帯と430MHz帯を実際に聞き比べたり、アンテナを窓際へ移動して受信状態の変化を見たりすると、知識が急に現実のものになります。
無線回路の設計でも、計算だけで完結することはほとんどありません。実際の配線、周囲の金属、ケーブル、ノイズ源で結果が変わります。アマチュア無線は、そうした「理屈と現実の差」を趣味として安全に学びやすい場所でもあります。
アンテナ実験が面白い
無線機を高級なものへ替えるより、アンテナを変えたほうが受信や送信の変化を大きく感じることがあります。これがアマチュア無線の面白いところです。市販アンテナを使うだけでなく、条件を守りながら自作や調整を試す楽しみもあります。
例えば、長さを変える、設置高さを変える、向きを変える、給電位置を変える。小さな変更でも受信レベルやノイズの入り方が変わります。アンテナは目に見える部品なので、無線工学が初めてでも「何を変えたから結果が変わったのか」を追いやすいんですよ。
電子工作が好きなら、はんだ付け、同軸ケーブル、コネクタ、簡単な測定などへ興味が広がる可能性もあります。最初から難しい回路を作る必要はありません。既製品を使いながら、少しずつ自分で触れる範囲を増やすくらいで十分です。
移動運用で外遊びとつながる
アマチュア無線は室内だけの趣味ではありません。小型の無線機とアンテナを持って、公園や山などから運用する「移動運用」があります。自宅では建物に囲まれて聞こえなかった信号が、高い場所では驚くほど聞こえることもあります。
登山ほど本格的でなくても、見晴らしのよい場所へ出かけて受信するだけで景色が変わります。電波の見通しという考え方が体で分かるので、机の上で学ぶより印象に残りやすいですね。
車での運用に興味がある方は、アマチュア無線モービル機の選び方も確認してみてください。車載では無線機だけでなく、電源、アンテナ設置、配線、安全性まで含めて考える必要があります。
防災を考えるきっかけになる
アマチュア無線は、防災意識を高めるきっかけにもなります。電源、バッテリー、アンテナ、通信距離を普段から意識するため、「停電したら何が使えるのか」「通信手段が限られたらどうするか」を考えるようになります。
ただし、アマチュア無線を持てば災害時に必ず通信できる、と考えるのは危険です。相手局の存在、電波状況、設備の状態、運用ルールなどに左右されます。防災用途だけを期待して高価な設備をそろえるのではなく、普段から趣味として扱い方に慣れておくことが大切です。
アマチュア無線は公的な防災通信を置き換えるものではありません。緊急時の連絡手段は携帯電話、自治体の情報、災害用伝言サービスなど複数を想定し、その一つの知識として無線を考えるのが現実的です。
現在の主な楽しみ方
「興味はあるけれど、何をすればいいのか分からない」という方へ、現在始めやすい楽しみ方をまとめます。全部やる必要はありません。自分が面白そうだと感じる入口を一つ選べば十分です。

144MHzと430MHzで交信する
初心者が小型のハンディ機から始めるなら、144MHz帯と430MHz帯は候補になりやすい周波数帯です。対応機種が多く、アンテナも比較的小型で、持ち歩いて運用しやすいからです。
144MHz帯と430MHz帯では電波の伝わり方や使われ方に違いがあります。実際にどちらを選ぶか迷ったら、アマチュア無線144MHzと430MHzの違いで比較しています。
周波数を合わせる、スケルチを調整する、信号の強さを見る、受信音を聞き分ける。こうした基本操作だけでも、無線機の扱いに慣れていきます。
デジタル音声やレピーターを使う
直接届かない相手と交信する方法の一つがレピーターです。高い場所などに設置された中継局を利用し、ハンディ機でも交信範囲を広げられる場合があります。アナログFMのレピーターだけでなく、D-STARなどデジタル方式を使う仕組みもあります。
ここは「無線なのにインターネットを使うの?」と感じる人もいるでしょう。でも、その違和感も含めて現代のアマチュア無線です。無線区間とネットワークを組み合わせることで、昔とは違う遊び方が生まれています。
HFで遠距離通信を狙う
遠くの地域や海外との交信に憧れるなら、HF帯は大きな魅力があります。電離層の状態によって電波が遠距離へ届くことがあり、条件が合えば小さな電力でも思わぬ場所とつながる可能性があります。
ただ、HFはアンテナが大きくなりやすく、マンションや住宅地では設置条件が課題になります。ノイズも無視できません。そのため、最初から大規模な固定局を作るより、小型アンテナや移動運用から試すほうが現実的な場合もあります。
音声だけでなく、CWやFT8などを試せるのもHFの面白さです。「会話するのは少し苦手だけど、遠距離通信はやってみたい」という人にも道があります。
SDRで電波を見て楽しむ
SDRは、受信した信号の処理をソフトウェアで行う考え方の無線です。パソコン画面に周波数スペクトルを表示すると、どこに信号が出ているかを目で探せます。昔ながらの受信機とは違う面白さがあります。
特に、無線回路や信号処理に興味がある人には相性がいいでしょう。音を聞くだけでなく、「この幅の信号は何だろう」「時間とともに出たり消えたりしているな」と観察できます。送信しなくても、かなり深く遊べる分野です。
始めるまでの流れ
アマチュア無線で送信して交信するには、無線機を買うだけでは足りません。人に対する資格と、無線局に対する免許を分けて考えることが大切です。

まず受信して雰囲気を見る
完全な初心者なら、いきなり高価な無線機を買うより、まず受信してみるのがおすすめです。自宅周辺でどの周波数帯が聞こえやすいのか、自分が音声交信に興味を持てるのか、それともSDRや短波受信のほうが面白いのかが見えてきます。
ここで「話すより受信のほうが好き」と分かっても問題ありません。逆に、聞いているうちに「自分もCQを出してみたい」と思ったら、その時点で資格取得へ進めばよいでしょう。
4級か3級の資格を取る
アマチュア無線技士には第1級から第4級まであります。入門としては4級または3級が候補です。資格によって操作できる周波数や空中線電力などの範囲が異なります。
4級は入門資格として分かりやすく、144MHz帯や430MHz帯のハンディ機から始めたい人には現実的です。一方、もう少し広い範囲を楽しみたい、CWにも興味があるという方は3級から検討する方法もあります。
JARDでは4級の集合講習や、3級のeラーニングなど複数の取得方法が用意されています。国家試験を受ける方法もあるため、自分の学習スタイルや日程に合わせて選んでください。制度や料金は変更される可能性があるので、申し込み前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。
自分の運用に合う無線機を選ぶ
資格を取ったら、次に考えるのが無線機です。ここで大切なのは「一番高性能な機種を買う」ことではありません。自宅中心なのか、外へ持ち出すのか、音声中心なのか、デジタル通信まで試したいのかで向く機種が変わります。

| スタイル | 向く機材 | 特徴 |
|---|---|---|
| まず近距離で試す | 144/430MHzハンディ機 | 小型で持ち運びやすく入門しやすい |
| 車から運用する | モービル機 | ハンディ機より出力や操作性に余裕を持たせやすい |
| 自宅で本格運用する | 固定機 | HFを含む多バンドや多モードを扱える機種がある |
| まず聞いて遊ぶ | 受信機・SDR | 送信せず電波観察から始めやすい |
最初の1台をハンディ機で考えている方は、アマチュア無線4級の無線機おすすめ機種も参考にしてください。商品価格や在庫、仕様は変わるため、購入時はメーカー公式情報と販売店の最新表示を確認するのが安心です。
開局申請をしてから送信する
アマチュア無線技士の資格を取っただけでは、自分の無線機から自由に送信できるわけではありません。無線従事者免許は人に対する資格で、アマチュア局の免許は無線局に対する免許です。
使用する無線設備や条件に応じて開局の手続きを行い、免許を受けてから、その内容の範囲で運用します。技適の有無、中古機、改造、追加する設備などによって確認事項が変わる場合もあるため、「買ったからすぐ送信」は避けてください。
筆者が保有する第一級陸上無線技術士の無線従事者免許証。アマチュア無線技士とは別の無線従事者資格です
上の免許証は、私が保有する第一級陸上無線技術士のものです。アマチュア無線技士とは別の資格ですが、無線では「操作する人の資格」と「無線局側の免許」を分けて理解することが大切、という点は共通して押さえておきたいところです。
最初の機材選び
商品アフィリエイトとの相性がよい分野でもありますが、無線機は価格だけで選ぶと失敗しやすいです。先に使い方を決め、その後で機種を比べる順番がおすすめです。
最初は小さく始める
初心者が最初から固定機、大型電源、大きなアンテナまで一式そろえる必要はありません。まずはハンディ機と必要な付属品程度から始め、実際に使って不満が出た部分を追加していくほうが無駄を減らせます。
例えば、自宅で受信すると聞こえにくいなら、すぐ無線機を買い替えるのではなく、アンテナの位置を変えてみる。外で使う時間が増えたら予備バッテリーを考える。車からの運用が楽しくなったらモービル機を検討する。この順番なら「高価な機材を買ったのに使わない」という状況になりにくいです。
海外製の安価な無線機は慎重に
通販では非常に安い無線機も見つかります。ただし、日本国内で送信に使うなら、周波数、出力、技術基準への適合、技適表示、免許申請との関係を確認する必要があります。見た目が似ているから国内向け機種と同じ、とは限りません。
特に初心者は、国内正規流通の製品から選ぶほうが制度面で確認しやすいでしょう。中古品も魅力がありますが、古い技適、保証認定、改造履歴などを見る必要が出る場合があります。安さだけで決めず、送信に使える条件を確認してください。
受信専用で使う機材と、実際に電波を発射する送信機では、確認すべき制度が違います。迷う場合はメーカー、JARD、総務省の案内など一次情報を確認するのが確実です。
アマチュア無線が向く人
誰にでもおすすめできる趣味ではありません。便利さだけを求める人には、正直かなり回り道です。でも、その回り道が面白いと感じる人には長く遊べる可能性があります。

機械や仕組みを触るのが好きな人
無線機のメニューを触る、アンテナを変える、ケーブルを選ぶ、受信状態を比べる。こうした小さな試行錯誤が苦にならない人はかなり向いています。完成品をそのまま使うだけでなく、「なぜこうなるのか」を考えるほど遊びが増える趣味だからです。
逆に、説明書を読むのが極端に苦手で、設定は一切したくないという人には少し面倒かもしれません。最近の無線機は多機能なので、便利になるほど設定項目も増えています。
一人でも没頭できる趣味が欲しい人
アマチュア無線は交信相手が必要な趣味に見えますが、一人で楽しめる時間も長いです。受信、アンテナ調整、ログの確認、SDR観察、機材の設定など、誰かと予定を合わせなくても進められます。
外出の目的が欲しい人
「今日は少し高い場所で受信してみよう」「この公園なら見通しが良さそうだ」と考えるようになると、無線が外出の目的になります。移動運用は、機材を持って出かける理由を作ってくれます。
無線だけのために遠出しなくても、旅行先やドライブ先で少し聞いてみるだけで十分です。場所が変わると受信できる局もノイズ環境も変わるので、同じ無線機が別物のように感じることがあります。
始める前の注意点
アマチュア無線は自由度の高い趣味ですが、電波を発射する以上、ルールがあります。知らなかったでは済まない部分もあるので、最低限ここは押さえてください。

資格と免許の範囲を守る
使える周波数、空中線電力、電波型式などは、資格や局免許の内容に従います。無線機に出力設定があるからといって、好きな値で送信してよいわけではありません。
また、制度は改正されることがあります。この記事では考え方を分かりやすく説明していますが、申請や運用を行うときは正確な情報を総務省などの公式サイトで確認してください。個別の設備や申請方法で判断に迷う場合は、管轄の総合通信局、JARDなど専門機関へ相談するのが安心です。
近隣への電波障害にも配慮する
送信設備を大きくしていくと、自宅周辺の電子機器への影響も考える必要が出ます。正常な設備でも、アンテナ配置、送信電力、配線、周囲の機器の状態によっては問題が表面化することがあります。
最初は小電力から始め、設備変更後は周囲の状況を確認する。ケーブルやコネクタを適切に施工する。こうした基本が大切です。無線は「電波が出れば成功」ではなく、周囲へ不要な影響を与えないところまで含めて運用だと考えてください。
◆ワンポイントアドバイス
回路設計やEMCの仕事でも、問題は出力の大きさだけで決まりません。ケーブルの引き回しや接地、コネクタの状態など、細かな部分が効くことがあります。アマチュア無線でも「何か変えたら一つずつ確認する」という習慣が役立ちますよ。
災害用途を過信しない
非常時に無線が役立つ場面はありますが、設備があるだけで自動的に情報が集まるわけではありません。日頃から操作に慣れ、バッテリーを管理し、どの周波数でどんな運用が行われるかを理解してこそ使えるものです。
そのため、防災を理由に始める場合でも「非常時だけ使う無線機」にしないほうがよいでしょう。普段から趣味として受信や交信を楽しみ、結果として操作に慣れている状態のほうが現実的です。
アマチュア無線の疑問
最後に、現在のアマチュア無線について初めて調べる方から出やすい疑問をまとめます。
アマチュア無線に関するよくある質問(FAQ)
Q1. アマチュア無線は現在でも人がいますか?
A. はい。局数は長期的に減少していますが、2026年6月末時点でも約32万6千局あります。また、音声だけでなくデジタル通信、レピーター、FT8、移動運用などへ活動が分散しています。地域や時間帯によって聞こえ方はかなり違うので、一つの周波数だけで判断しないほうがよいでしょう。
Q2. スマホがあるのに始める意味はありますか?
A. 通信の便利さだけならスマホのほうが圧倒的です。ただ、アマチュア無線は電波伝搬、アンテナ、受信、電子工作、移動運用など「通信が成立するまで」を楽しめます。機械や技術の試行錯誤が好きなら、スマホとは別の価値があります。
Q3. 資格がなくてもアマチュア無線を楽しめますか?
A. 受信だけなら、送信とは違う形で楽しめます。ただし、アマチュア無線機を使って電波を発射するには、原則としてアマチュア無線技士の資格とアマチュア局の免許が必要です。誤送信にも注意してください。
Q4. 初心者は4級と3級のどちらから始めるべきですか?
A. 144MHz帯や430MHz帯のハンディ機を中心に気軽に始めたいなら4級は分かりやすい選択です。CWやより広い運用範囲に早く進みたいなら3級から検討してもよいでしょう。取得方法や制度は変わる可能性があるため、受験前に公式情報を確認してください。
Q5. 最初から高い無線機を買ったほうが長く使えますか?
A. 必ずしもそうではありません。自分が音声、デジタル、HF、移動運用のどれに興味を持つかは、始めてみないと分からないことがあります。最初は目的に合う小さな構成で始め、不足が見えてから機材を追加するほうが失敗を減らしやすいです。
アマチュア無線の現在まとめ

アマチュア無線の局数が減っているのは事実です。ですが、「昔の趣味だから今から始めても遅い」と切り捨てるのはもったいないと私は思います。現在は、音声交信だけでなく、受信、SDR、デジタル通信、移動運用、アンテナ実験など、自分に合う入口を選べます。
- 現在も30万局を超えるアマチュア局が存在する
- 音声だけでなくデジタルや受信など楽しみ方が広がっている
- スマホとは違い電波が届く過程そのものを楽しめる
- 初心者は受信やハンディ機から小さく始めやすい
- 送信には資格と無線局免許の両方を確認する

あなたが「遠くの人と話したい」のか、「電波を見てみたい」のか、「アンテナを試したい」のかで、最初の一歩は変わります。全部を理解してから始める必要はありません。面白そうな入口を一つ選んでみてください。
アマチュア無線は、便利さを競う趣味ではなく、自分で工夫した結果が電波として返ってくる趣味です。そこに少しでもワクワクするなら、今から始める価値は十分ありますよ。